米ファイザー、ミシガン州で新型コロナ経口治療薬「パクスロビド」増産に1億2,000万ドル投資
(米国)
シカゴ発
2022年06月10日
米国製薬大手ファイザーは6月6日、ミシガン州カラマズー市の同社工場に1億2,000万ドルを投資して、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬「パクスロビド(パキロビッド)」を増産すると発表した。米国をはじめとする世界の需要に対応するもので、今回の投資により、高い技能を有する250人を新たに雇用する。
カラマズー工場では、医薬品有効成分(API)のほか、医薬品、医療機器を製造しており、これまで10億回分近くの新型コロナ感染症向けのワクチンを製造している同社でも最大規模の工場だ。今回の投資によって年間1,200トンのAPIを製造する世界最大規模の製造施設が誕生することになる。
同社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は「当社は数十億のワクチン供給と、何百万もの治療薬を提供することにより、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックと闘い、不可能なことを可能にした」と述べた。さらに「今回の投資は2017年以来、製造と流通のポートフォリオ全体で総額50億ドル投資してきたことを踏まえたものだ。米国の製造業が継続してリーダーシップを取れるようサポートしていく」との抱負を示した。
ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は「1億2,000万ドルの投資と250人の新規雇用は、ミシガン州の経済をさらに発展させるだろう。カラマズー工場は最初に提供したワクチンの一部を製造した工場であり、今後も新型コロナウイルス感染症との闘いのキープレーヤーとなる」と歓迎した。
ファイザーは現在までに、米国向けの500万コース(注)分を含め、37カ国向けに1,200万コース分のパクスロビドを供給している。同治療薬は高リスクの新型コロナ患者の治療薬として、既に日本を含む60カ国以上で条件付き、または緊急の使用が承認されている。
(注)5日間の治療期間での服用分を1コースと数える。
(齋藤秀美、星野香織)
(米国)
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