伊藤忠商事、NEOM子会社と次世代海水淡水化プラント建設で覚書締結

(サウジアラビア、日本)

リヤド発

2022年06月27日

伊藤忠商事は6月16日、サウジアラビア政府が推進するギガプロジェクト「NEOM」での次世代海水淡水化プラント建設に向けて、NEOM子会社の「ENOWA」、フランスの環境サービス大手のベオリアとの間で覚書を締結した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。NEOM内の水上工業団地「OXAGON」に建設予定で、2024年の初期造水を目指す。このプラントでは、再生可能エネルギー100%を動力とし、家庭、工業、商業向けに持続可能で豊富な水を供給する予定だ。

淡水化に当たっては、海水回収率の高い逆浸透膜プロセスを採用し、淡水と濃度の高い塩水である海水淡水化濃縮水を生産する。この海水淡水化濃縮水は、通常では海水淡水化の過程で排出される廃棄物と考えられているが、鉱物や金属を生産する原材料として使用することで、液体廃棄物0%を達成でき、NEOMの目指す循環型経済を実現可能としている。生産された工業用の原料は国内での消費だけでなく、海外へも輸出予定だ。

サウジアラビアを含む中東湾岸諸国では近年、水需要が増える一方で、水供給が課題となっていた。巨大スマートシティーのNEOMでも、いかに水不足を解消するかが焦点となっていたが、今回の覚書締結により、日本の技術とフランスのノウハウを駆使して解決を図る。

伊藤忠商事は、世界的な人口増加や地球温暖化などに起因する水需要の増加を背景に、水関連ビジネスを重点分野として位置付け、オーストラリアやオマーンで海水淡水化事業や水処理事業を拡大してきた。これらの実績を生かして、サウジアラビアの脱炭素・循環型社会の実現に向けた持続可能な生活の構築に貢献していくとしている。

(位田陸)

(サウジアラビア、日本)

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