パリで日本酒コンクール「クラマスター」が開催

(フランス、日本)

パリ発

2022年06月20日

フランス・パリ市内において5月23日、国際的な日本酒のコンクールである「クラマスター(KURA MASTER)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2022」の審査会が開催された。第6回となる今回のコンクールには、日本全国やフランスから、日本酒部門に1,100本、さらに2021年から新たに設けられた本格焼酎・泡盛部門に193本の銘柄がエントリーされた。MOF(フランス国家最優秀職人)の資格保有者、一流ホテルのトップソムリエ、バーマン・バーウーマン、カービスト(ワインなどの専門酒販店の専門家)、またレストラン、ホテル、料理学校関係者など飲食業界のプロフェッショナルが、銘柄を隠したブラインドテイスティングにより厳正な審査を行った。

クラマスターは、2017年からフランスで開催されている。審査はフランス人が行い、フランス人の趣向やフランスにおけるマーケットニーズが直接評価に反映されるため、日本の出品者にとって、本格的な海外展開を検討している銘柄も含めた国際的なブランディングやバイヤーの発掘のために非常に貴重な機会となっている。

フランスへの日本酒(清酒)や焼酎の輸出額(財務省貿易統計)は拡大傾向にある。2021年の輸出額は前年比2.3倍(日本酒)、3倍%(焼酎)と急拡大した。2020年の輸出額が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込んだことの反動も加わったとみられる。

他方、日本酒(清酒)と焼酎のフランスへの輸出合計額(2021年、財務省貿易統計)は、酒類で最大の輸出品目であるウイスキーの約11%にとどまる。日本酒は度数の強い蒸留酒であるとの誤解が一部に残り、フランスの食文化において重要視される料理とのペアリングにおいて、日本酒や焼酎との合わせ方が浸透していないことなどの要因が考えられる。なお、ウイスキーは元々、食後酒として飲む文化がフランスにあるため、日本産への受容性も高かったようだ。

しかし、クラマスターの開催により、多種多様な日本酒や焼酎・泡盛がフランス人の目に触れ、理解が広まるきっかけとなっており、フランス、そしてEUへの日本酒、焼酎、泡盛の市場が今後も拡大することが期待される。

6月1日および6日に、「クラマスター2022」の各部門のエントリー銘柄のうち、上位33%が受賞できるというフランス政府の規定に基づき、プラチナ賞や金賞などの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがあった。

来る7月6日には、駐フランス日本大使公邸において授賞式が開催され、各部門でプラチナ賞を受賞した銘柄のなかから1つ「プレジデント賞」授賞銘柄が発表される予定。

日本酒、焼酎、泡盛などの海外展開の登竜門として、クラマスターの今後の発展に期待したい。

写真 審査の様子(クラマスター運営委員会提供)

審査の様子(クラマスター運営委員会提供)

(西尾友宏)

(フランス、日本)

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