政府、炭酸リチウムの輸出申告額の予防的参照価格を規定

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年06月06日

アルゼンチンで5月31日、炭酸リチウムの輸出に関する予防的参照価格を定めた税関総局一般決議5197/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公布された。予防的参照価格制度は、過少に輸出額が申告されることを防ぎ、正しく税収を確保することを目的に、政府が製品の輸出申告時の基準価格を設定する制度。輸出申告額が当該予防的参照価格を下回る場合、上回る場合、ともに輸出書類と貨物の検査が行われる。

当該決議によると、対象となるのはメルコスール共通関税分類番号(NCMコード)2836.91.00に該当する、純度99.5%以上の炭酸リチウムで、仕向け地を、カナダ、米国、北朝鮮、韓国、中国、フィリピン、台湾、日本、タイ、香港とするもの。基準価格は1キロ当たりFOBで53ドルに設定された。

5月3日付け現地紙「アンビト」(電子版)によると、5月4日、連邦政府、フフイ州、カタマルカ州、サルタ州の各州政府の参加により2021年4月に設立された国家リチウム会議(Mesa Nacional de Litio)がサルタ州で開催され、当該会合において予防的参照価格の設定について議論されたもようだ。同紙は、ラウル・ハリル・カタマルカ州知事の「会合において最低FOB価格について議論されるだろう」との発言を報じている。

国家統計センサス局(INDEC)によると、2021年に少なくとも1億8,525万ドル(FOB)、2万7,470トンの炭酸リチウムが輸出された。INDECは統計の機密性を理由に、輸出額、輸出数量を明確にしていない。仕向け地別の輸出額、輸出数量も非公開だ。主な仕向け地とみられる中国、米国、日本、韓国側の統計をみると、各国のアルゼンチン産炭酸リチウムの輸入額、数量は添付資料のとおり。

米国地質調査所(USGS)が公開PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)する「鉱物商品概要2022年版」によると、アルゼンチンのリチウムの埋蔵量はチリ、オーストラリアに次ぐ世界第3位。生産量は世界第4位となっている。現在、操業中のリチウムの生産プロジェクトは、オラロス塩湖(フフイ州)、フェニックス(カタマルカ州)の2つだが、この他に探鉱・鉱区評価、建設段階にある36のプロジェクトが存在する。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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