トルドー・カナダ首相、G7サミットで訪問中のドイツで岸田首相と会談

(カナダ、日本、ロシア、ウクライナ、中国、北朝鮮)

米州課

2022年06月28日

カナダのジャスティン・トルドー首相は6月27日、G7サミット出席のため訪問中のドイツ南部エルマウで岸田文雄首相と会談した。

カナダ首相府のニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両首脳はまず、カナダ・日本間の戦略的パートナーシップと自由で開かれた包括的なインド太平洋地域への共通のコミットメントを再確認したほか、気候変動対策や、エネルギー安全保障、全ての人に利益をもたらす強力な経済成長を含む共通の優先事項に関して、2国間で協力を深めることで一致した。

両首脳はまた、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の強化に引き続き緊密に取り組むほか、CPTPPの高い基準へのコミットメントを維持しつつ、中産階級の良好な雇用機会や事業機会の創出、両国間の貿易を拡大していくことを約束した。日本の外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両首脳は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持するため、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた2国間協力の6つの優先分野(注1)で具体的で力強い連携を進めていくことで一致したほか、TPP11については戦略的な観点も踏まえて率直な議論を行い、緊密に連携していくことでも一致した。

ロシアのウクライナ侵攻について、ウクライナの主権と領土保全支援のため緊密な協力を継続することで合意した。トルドー首相は、ウクライナの復興を支援するカナダの強力かつ永続的なコミットメントを強調し、ウクライナに対する日本の支援を歓迎した。両首脳は、ロシアのウクライナに対する軍事攻撃により、特に食料、燃料や肥料の不足と価格上昇が新興国に及ぼす影響に懸念を表明し、影響の緩和に向けて協力して対処していくとした。

東シナ海と南太平洋を含む海域での中国の行動に対する懸念については、ルールに基づく国際秩序を維持するために、G7が引き続き協調することの重要性について一致した。また、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発への深い懸念を表明し、完全で検証可能、かつ不可逆的な核兵器の廃棄を支持することで一致した。トルドー首相は、カナダが「ネオン作戦」(注2)を通じて貢献している、北朝鮮に対する国連制裁の監視を支援する多国籍の取り組みコミットメントについてあらためて触れた。

(注1)自由で開かれたインド太平洋に資する日本とカナダが共有する6つの優先協力分野 :(1)法の支配、(2)平和維持活動、平和構築および人道支援・災害救援、(3)健康安全保障(ヘルス・セキュリティー)および新型コロナウイルス感染症への対応、(4)エネルギー安全保障、(5)自由貿易の促進および貿易協定の実施、(6)環境および気候変動

(注2)2019年からカナダ政府が開始した、北朝鮮による制裁逃れの瀬取り(海上での貨物移し替え)監視を目的とした作戦外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、これまで日本にも在日米軍飛行場を利用した監視作戦のためカナダ軍の洋上監視機や艦船数隻が複数回派遣されている(外務省ニュースリリース2022年4月22日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(高山さわ)

(カナダ、日本、ロシア、ウクライナ、中国、北朝鮮)

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