中国の紫金鉱業集団の炭酸リチウム開発計画、アルゼンチンの外貨優遇制度の認定取得

(アルゼンチン、中国)

ブエノスアイレス発

2022年06月09日

アルゼンチンで6月7日、経済省と工業生産・開発省の共同決議4/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公布され、必要緊急大統領令(DNU)234/2021号により創設された「輸出のための投資強化制度」の対象として、中国の紫金鉱業集団の現地子会社Liexがカタマルカ州で進める炭酸リチウムの投資計画が認定された。

「輸出のための投資強化制度」は、輸出を目的とした新規投資または再投資を行うことを条件に、輸出代金の一部を外国への支払いに充てることができるもの。2021年12月のDNU836/2021号により、投資額が5億ドルを超える大型投資案件への優遇措置が拡大された。

アルゼンチン政府は2022年2月、紫金鉱業集団がカタマルカ州フィアンバラ市での炭酸リチウム開発計画「トレス・ケブラダス・プロジェクト」に、子会社Liexを通じて3億8,000万ドルを投資すると発表していた。Liexが制度適用を受けるのは、今後15年間で最大2億9,644万666ドルの外貨の取得枠が認められた。

アルゼンチン鉱業庁の工業開発副長官を2022年5月に辞任したアンドレス・ベラ氏が6月2日に行った講演によると、鉱業分野への投資の発表はDNU234/2022号の発表後に増え始め、DNU836/2022号の発表後にはさらに増加したという。2021年のアルゼンチンの鉱業分野の輸出額は32億3,000万ドル。ベラ氏によると、チリの567億5,500万ドル、ペルーの396億3,700万ドルと比べて圧倒的に少ないが、発表ベースの投資が実行される前提で、2026年には65億800万ドルまで増加するとの見通しを示した。工業生産・開発省が2022年5月に発表した2020年1月以降の鉱業分野への投資額(発表ベース)は101億9,115万ドルで、そのうち46億840万ドルが銅、42億5,950万ドルがリチウム関連の投資が占めている。

ベラ氏は「2023年12月に発足する新政権が『輸出のための投資強化制度』を無効にする可能性はない。将来的に、現行制度が認める外貨の優遇措置を上回る条件を中央銀行が認める可能性はあっても、現行制度が保証する内容が悪化することはないだろう」と述べ、制度の安定性を強調した。加えて「外貨準備高を積み上げることは、国内のマクロ経済安定には重要だ。2021年の輸出額は過去最高の水準に達したが、鉱業は中長期的にそれを下支えするポテンシャルがある。外貨獲得のためには輸出を増やさなければならない。投資環境への投資家の不安を払拭(ふっしょく)する必要もある」と述べ、鉱業分野が外貨獲得に果たす役割の大きさを強調した。

また、ベラ氏は「鉱業分野は国内のサプライヤーにとってもメリットがある。ホセマリア・プロジェクト(注)のような巨大プロジェクトでは、建設段階でさまざまなチャンスがあり、輸送、観光など裾野も広い。こうしたプロジェクトに参加する国内サプライヤーが近隣国の鉱山開発プロジェクトに技術輸出する可能性も出てくる」と述べ、鉱業の裾野産業にも恩恵が及ぶとの見方を示した。

(注)サン・フアン州で、カナダのルンディン・マイニングが開発を進める銅鉱山の開発プロジェクト。投資額は42億ドル。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、中国)

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