外国為替監督委員会への国外送金の承認申請手続き判明

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年06月27日

ミャンマーでは、国内の外貨不足を受けて外国為替管理が強化されている。国外への外貨送金は外国為替監督委員会(FESC)の事前許可が必要だが(注1)、ジェトロが同委員会にヒアリングしたところ、申請手続きの具体的な内容が明らかになった。

FESCは2022年4月4日、外貨両替の承認、国外外貨送金の許可など、外貨の流れを監督する機関として新たに設立され、5月13日に6人(注2)の委員が任命された。監督の対象は以下のとおり。

1.投資や製造に必要な機械、車両、設備、原材料の輸入

2.国内市場で入手できない燃料、医薬品、食用油、肥料、殺虫剤、建設資材の輸入

3.国民の医療、教育、宗教活動のための国外渡航などの活動

4.一般商品の輸入、外国での借入金返済・利払い、サービス料支払い、投資利益の本国送還

5.各種嗜好(しこう)品(ブランド品、宝飾品、スポーツカー、時計など)の輸入

FESC事務局は投資企業管理局(DICA)

FESCへの申請の受理・審査はミャンマー投資委員会(MIC)の事務局であり、会社法の下で企業登録などの実務を行う投資企業管理局(DICA)が担っている。DICAヤンゴン本部には、FESCヘルプデスクが開設されており、申請者は以下の申請書類を持参し、受理された後に審査を受け、承認された場合に国外に外貨送金をすることができる。

外貨送金の承認申請には以下の書類が必要。

1.企業のレターヘッドによる申請書〔送金理由などを記載したもので、宛先は、投資法によりミャンマー投資委員会(MIC)の認可を受けた企業はMIC委員長、会社法により設立された企業はDICA局長、添付資料1参照〕

2.バンクステートメント(残高証明)

3.企業登録証コピー(MIC委員長もしくはDICA局長の署名が入った登録証コピー)

4.Company Extract Form〔オンライン登記システム(Myco)から抽出する企業名、役員、株式、各種書類の提出履歴が記録された書類〕

5.インボイスや契約書など、申請内容や金額を裏付けるもの

6.送金銀行・支払先別細目表(添付資料2参照)

ジェトロがDICAに聞き取りをしたところ、以下の6項目を重点的に審査しており、現在、申請が受理され審査結果が出るまで1カ月程度を要しているとのこと。

(1)Mycoに登録された企業であること

(2)取引目的の送金かそれ以外か

(3)2022年4月1日以前に申請した企業による再申請ではないこと

(4)本社に配当金を送金する際、この送金が払込資本金に含まれているかどうか

(5)納税済であること

(6)外貨両替を伴う送金の場合、理由と数量は指定された書き方のとおり記載されていること

写真 FESCヘルプデスクの様子(ジェトロ撮影)

FESCヘルプデスクの様子(ジェトロ撮影)

(注1)外貨の強制両替免除対象企業〔ミャンマー投資委員会(MIC)の許可により進めている外国直接投資事業や経済特別区(SEZ)内の投資事業、外資が10%以上出資したDICA登録企業など〕が手持ち外貨を国外送金する場合、FESCの承認は不要。

(注2)FESC委員長:モーミントウン中将・国家統治評議会(SAC)委員 、ウインシェイン計画財務相、プウインサン商業相、カンゾー会計検査委員、タンネイン中央銀行総裁、FESC事務総長:アウンナインウー投資対外経済関係相

(アジア大洋州課)

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