サウジアラビアと米国が商業協力の深化にむけて合意

サウジアラビアのマジッド・ビン・アブドゥッラー・アール・カサビ商業相は6月15日、訪問先の米国でジーナ・レモンド商務長官と会談した。会談では、両国間の商業協力の深化を目的とした計画が発表された。

同計画では、開かれ繁栄した市場と包摂的な成長を目指すとする両国で共有された目標に基づき、（1）グリーン・エコノミー、（2）女性と中小企業の役割の強化、（3）イノベーションの促進、（4）双方向の投資の増加の4つの協力分野が選定された。また、深化した協力の促進と両国の商業関係の強化を目的に、以下に示す例のように、協力に努める幾つかの内容が示された。

• 米系クリーンテック分野のマネジメント層が参加する訪サウジ・ビジネスミッションの組成（2023年3月予定）
• サウジアラビアの起業家と米国のインキュベーター、アクセラレーターをつなぐプログラムの開発
• サイバーセキュリティ、スマートシティ、再生可能エネルギー、廃棄物処理、エネルギー貯蔵、スマートグリッドなどの新興技術の標準化の調和を目的とする一連のウェビナーの開催
• サウジデータ・AI庁（SDAIA）と米国産業界代表による、クラウドコンピューティング、金融サービス、電子商取引および国境をまたぐデータフローと相互運用性の分野におけるサウジアラビアの規制に関するインプットを通じた継続的な関与

バイデン大統領の公式訪問に向けた地ならし

今回の閣僚級会合に先立ち、米国のカリーン・ジャンピエール大統領報道官は6月14日、ジョー・バイデン大統領が7月13～16日にサウジアラビアを含む中東諸国を歴訪する予定を明らかにしていた（2022年6月15日記事参照）。これを受け、今回の閣僚レベルの対話は、同訪問に先駆けた地ならしとしての役割も指摘されている。6月末には、ハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相の訪米も予定されており、大統領訪問に向けて両国の協力関係がどの程度進むのか、引き続き注目が集まる。

（秋山士郎）