英国とGCC加盟国、FTA締結交渉を開始

(英国、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

ロンドン発

2022年06月24日

英国政府のアン・マリー・トレビリアン国際通商相は6月22日、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦で構成される湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

トレビリアン国際通商相はサウジアラビアのリヤドを訪問し、GCCのナーイフ・ファラー・アル・ハジュラフ事務局長とともに、GCC加盟6カ国の通商担当省とFTA締結について協議した。今回の交渉に先立つ5月24日、英国のボリス・ジョンソン首相はカタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と「戦略的投資パートナーシップ(SIP)」に署名した際に、GCC加盟国とのFTA締結に期待を示していた(2022年5月30日記事参照)。

英国政府によると、2021年の英国とGCC諸国の貿易総額は331億ポンド(約5兆4,615億円、1ポンド=約165円)で、このうち、サービス輸出は121億ポンドだった。GCCは、英国にとって7番目に大きな輸出市場に相当する。

特に、GCC諸国は農産品や食品の輸入依存度が高く、2021年の英国のGCC諸国向け食料・飲料品輸出額は6億2,500万ポンドだった。現在、シリアル食品には最大25%、チョコレートには最大15%、ベーカリー製品には最大12%、ビスケットには最大10%、スモークサーモンには5%の関税が課されているが、これが大幅に削減もしくは撤廃されることで、FTAは英国の農家や生産業者を利すると見込まれる。

また、FTAが締結に至れば、GCC諸国からの投資受け入れや主要産業における雇用創出など、年間で16億ポンド以上の価値を英国全土にもたらし、少なくとも16%の貿易増を促すと予測されている。

トレビリアン国際通商相は「この貿易協定は、(英国の)ドーバーと(カタールの)ドーハの間の雇用を支援し、英国経済を成長させ、湾岸諸国に重要なグリーン産業を興して、革新的なサービスを提供する可能性を持つ」と述べた。製造業団体メークUKのスチーブン・フィプソン最高経営責任者(CEO)は、英国とGCC諸国がともにグリーンイノベーションによる機会の模索に向けてコミットしていることにより、英国の再生可能エネルギー企業はさらなるチャンスを得ることになると強調した。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

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