中国初の貨物輸送ハブ空港、6月30日に一部開港

(中国)

武漢発

2022年06月29日

中国・湖北省鄂州市に「アジア初の貨物ハブ空港」として建設されている、鄂州花湖空港の一部開港(6月30日)が近づいている。湖北省鄂州市は武漢市南東に位置する地級市で、鉄鋼業、物流業の主要拠点として機能し、武漢経済圏を構成する都市の1つ。

湖北省鄂州市臨空経済区の責任者に、空港の現状と展望について尋ねた(6月24日)。

写真 旅客ターミナル外観(ジェトロ撮影)

旅客ターミナル外観(ジェトロ撮影)

(問)鄂州花湖空港建設の経緯は。

(答)順豊エクスプレス(SF)の提起した、湖北省に国際物流ハブ空港を建設しようという計画(2014年ごろから)が具体化したもの。2016年、国家民航総局が鄂州市での「湖北国際物流核心枢軸プロジェクト」の実施を認め、湖北省とSFが共同で鄂州花湖空港を建設し、世界一流のハブ空港にするプロジェクトが開始された。

(問)鄂州花湖空港の特徴は。

(答)鄂州花湖空港は、貨物物流を主体としつつ、旅客輸送や各種公共プラットフォームも併せ持つ「アジア太平洋地域最大の貨物専用空港(旅客サブ空港としても運用)」。アジア太平洋では最大、全世界では第4位の規模。北京市、上海市、広州市、成都市、重慶市などまで1.5時間で輸送可能な中国最大の物流拠点となる。2万3,000平方メートルの航空貨物ステーション、67万8,000平方メートルの貨物仕分けセンター、124の駐機スポット、走行距離3,600メートル・幅45メートルの滑走路2本を擁する。滑走路は2050年までにさらに1本を増設の予定。

総投資額は320億 6,300万元(約6,413億円、1元=約20円)、うち空港建設投資額が158億5,700万元(出資比率は湖北交投集団49%、SF46%、その他5%)。そのほか、SF出資による貨物集配センター建設投資額が115億2,900万元、SF空港基地建設投資額が37億5,200万元。

写真 左手が空港敷地、右手が貨物集配センター(ジェトロ撮影)

左手が空港敷地、右手が貨物集配センター(ジェトロ撮影)

写真 滑走路周辺の様子(ジェトロ撮影)

滑走路周辺の様子(ジェトロ撮影)

(問)鄂州花湖空港の今後の計画、展望は。

(答)2022年に入り、既にSFによる貨物便の試験運航を開始していたが、6月30日には国内旅客ターミナルが正式に運航を開始する。当初、旅客便は1日に2本程度で、行き先は北京市、深セン市、上海市、昆明市、成都市、アモイ市、重慶市、青島市を予定している。

貨物便の正式運航は、まず11月30日に鄂州市と深セン市間から開通の予定。国際便は、来年6月ごろまでにフランクフルト、大阪など8路線を開通予定(前述2拠点以外は未定)。

今後、2025年に旅客輸送を100万人に、貨物取扱量を245万トンにする。2030年にはそれぞれ150万人、300万トンに、2050年には2,000万人、908万トンに拡大する計画で、実現すれば世界最大の貨物空港となる。

(問)周辺物流インフラとの連結による優位性は。

(答)鄂州花湖空港は、長江に面しており、武漢新港(陽邏港)、三江港、葛店港、五丈港、燕矶港など周辺の河川港との接続にも利便性がある。特に燕矶港とは隣接しており、保税区を共有するため、空路から船舶輸送に保税のまま運搬する(あるいは逆に船舶から航空便に保税で積み替える)「空水連運」が実現できる。

空港敷地には、保税倉庫(保税扱いのまま鉄道輸送や河川輸送に積み替え可能な総合保税区としての機能を備える)を整備中。工事は第1期と第2期に分けて行っており、第1期の区画はSFのほか九州通医薬集団、中国航空油料集団などとの契約で埋まった。第2期の工事を急いでいるところ。

周辺都市からの通勤にも優位な立地にある。鄂州市臨港経済区は、武漢市、黄石市、黄岡市の都市部まで15キロ、30分程度の距離にあり、武漢地下鉄11号線が鄂州市まで延びている。主要都市から「1時間通勤圏内」に位置することも、鄂州花湖空港の優位性の1つ。

(佐伯岳彦)

(中国)

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