ペルー国家会計検査院がリマメトロ第2号線の稼働遅延の可能性を指摘
(ペルー)
リマ発
2022年06月22日
ペルー国家会計検査院(CONTRALORÍA)は6月14日、プレスリリースで首都リマ市の都市交通「リマメトロ」の第2号線整備におけるリマ市東部のアテ地区とサンタ・アニータ地区を通る1A区間(5駅)の商業運転開始時期が延期される可能性を指摘した。5月の段階では、2022年10月ごろの商業運転開始が見込まれていた。CONTRALORÍAの管理委員会によると、延期の背景には、運輸通信省(MTC)およびリマ・カジャオ都市交通局(ATU)から決済システムやICカードに関する情報がコンセッショネア側〔スペインのイリディウム(Iridium、持ち株比率25%)、同ビアリア(Vialia、18.25%)、イタリアのインプレジロ(Impregilo、18.25%)、同アンサルドSTS(Ansaldo STS、16.90%)、日立レールイタリア(11.60%)、ペルーのコサピ(Cosapi、10%)〕に提供されないため、乗客管理システム(SCP)への実装に遅れが出ていることがあるという。
CONTRALORÍAが5月30日付で発表した報告第3707-2022-CG/APP-SCC号によると、今回の問題は既に10カ月間に及んでおり、その間SCPの進展は全くないとしている。これに対してMTCとATU側は、コンセッショネア側が求める情報提供の義務はなく、契約上も政府側にICカードの調達義務はないと主張しているという。さらに管理委員会では、ATUに対する査察で、1A区間における歩道橋の支柱点検や用水路対策が未解決となっているため、安全な運行の保障が得られないとしている。このため、同報告書では既に1A区間の試運転開始期限(2021年10月23日)をとうに過ぎているうえ、リマメトロ第2号線全体の稼働に影響を及ぼすとしている。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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