3月の輸出額は過去最大、貿易黒字が続く

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年05月09日

インドネシア中央統計庁(BPS)が4月18日に発表した輸出入のデータによると、3月の輸出は過去最大の264億9,600万ドルで、前年同月比で44.4%、前月比では29.4%のそれぞれ増加だった。輸入は前年同月比30.9%、前月比32.0%増加の219億6,680万ドルだった(添付資料表参照)。3月の貿易収支額は45億2,920万ドルの黒字となり、2020年5月以降貿易黒字を維持している。BPSのマルゴ・ユヲノ長官は、コモディティー価格の上昇が輸出額増加の直接的な要因だとした(「コンタン」4月19日)。

輸出の内訳をみると、前年同月比では、石油・ガスと非石油・ガスはそれぞれ54.8%、43.8%増加し、前月比でも、それぞれ41.2%、28.8%増加している。非石油・ガスの輸出では、鉱物性燃料が前年同月比2.2倍、鉄鋼が81.8%増加した。前月比でも同様に、鉱物性燃料が54.5%、鉄鋼が37.1%増加した。

輸入では、石油・ガスと非石油・ガスが前年同月比でそれぞれ53.2%、27.3%増加した。前月比でも20.3%、34.5%増加した。非石油・ガスの輸入に寄与度が高かった品目は、機械類・輸送用機器(前月比18.7%増)、電気機器(28.2%増)、鉄鋼(39.8%増)だった。これらの品目で非石油・ガスの輸出全体の35.1%を占めた。

非石油・ガスの輸出先では、上位10カ国の全ての輸出額が前年同月比、前月比ともに増加した。特に前年同月比でいずれの国・地域も2桁以上の増加となった。中国との貿易収支は、3月単月では黒字となったが、第1四半期(1~3月)では赤字となり、前年同期より赤字幅が拡大した。

アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は「継続的な貿易黒字は外貨準備を増やし、外部要因に対するインドネシアの対応能力や強靭(きょうじん)性を強化するだろう」と、ロシア・ウクライナ情勢が緊迫を続ける中で貿易黒字を維持したことを評価した。また「政府は今後も優れたコモディティー品目の下流化を推し進めていく。高い付加価値を持つ下流のコモディティー商品の輸出により注力していく」と今後の見通しを示した(「liputan6」4月19日)。財務省は下流化の実例として、ニッケル鉱石から鉄鋼関連製品(フェロニッケル)への輸出の転換を挙げた。同省は、輸出単価に基づいたフェロニッケルの付加価値を、ニッケル鉱石や精鋼の60倍としている(財務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます4月19日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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