世界銀行、新型コロナ禍後のパレスチナ経済復調を示唆

(イスラエル、パレスチナ)

テルアビブ発

2022年05月18日

世界銀行は5月10日付で「アドホック調整委員会」(注)に提出したレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、新型コロナウイルス感染症関連の規制が大幅に緩和されたことなどから、2021年のパレスチナ自治区の経済成長率が2020年のマイナス11.3%からプラス7.1%に回復するとした。

同レポートでは、成長の主な原動力はパレスチナ自治区の中でもヨルダン川西岸地区の7.8%の経済成長にあると分析している。新型コロナ関連規制が緩和されたことにより、同地区の消費が回復したことに加え、イスラエルやその入植地で就労するパレスチナ人が2020年の12万5,000人から、2021年第4四半期(10~12月)に15万3,000人に増加したことが挙げられている。これに対して、ガザ地区では、2021年5月に発生したイスラエルとの武力紛争の影響などから経済復興が遅れたこともあり、成長率は3.4%にとどまった。

同レポートによると、さらなる経済成長を促進するため、世界銀行の支援によってパレスチナ自治政府国家経済省(Ministry of National Economy)は会社法を新たに制定し、2021年12月30日から施行した。この新会社法では、会社登記のオンライン化や手続きの簡素化、外資規制の撤廃、複数の出資者からなる大規模企業に対する優遇措置の提供、企業買収や会社分割など、これまで制度整備が不十分だった分野の制度構築や、少額投資家に対する保護施策の拡充など、外国企業の投資誘致に向けた制度改善を示唆する内容が取り上げられている。その他にも、公共目的に必要な範囲でのみ中小企業を規制し、過剰な要件を排除することでのコンプライアンスコストの削減、企業の取締役会の女性の割合を3分の1以上にするという要求、若者や女性の起業を促すために在宅事業での登記を可能にする措置など、中小企業や若者、女性といった潜在的に成長可能性がある主体に対して、さらなるインセンティブを与えようとする意図が見える。

ただし、同レポートでは、経済成長への積極的な取り組みに対して、依然として財政改革や電力をはじめとするインフラ整備面の課題や、新型コロナ禍のような急激なインパクトに対する経済社会の強靭性(きょうじんせい、レジリエンス)確保の必要性などもあることも同時に指摘している。

(注)アドホック調整委員会(Ad Hoc Liaison Committee)は、パレスチナ自治区に対する国際援助協調を図る調整機関。

(吉田暢)

(イスラエル、パレスチナ)

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