朝陽区では引き続き常態化したPCR検査を実施、商業ビルの賃料減免策も

(中国)

北京発

2022年05月23日

北京市政府の5月18日の記者会見を受けて、西城区、海淀区、豊台区、房山区の4つの区の全域において5月19日、20日、21日の3日間、引き続き毎日PCRスクリーニング検査を実施した。また4区以外の地域で直近7日間に新型コロナウイルス陽性者が確認された街道・鎮(区の下の行政単位)も同様に3回の検査を実施した。

上記4区のうち、南部の豊台区では同区内の卸売市場関連の感染者が多数確認されているため、市政府は同区住民に対し不要な区外への外出を禁止し、改めて在宅勤務を要請するなど、防疫管理を強化した。

また、4区以外の地域で直近7日間に陽性者が確認されていない街道・鎮は、毎日PCR検査を行う対象区からは外れたものの、引き続き常態化したPCR検査(2日に1回実施、注1)が求められている。なお、多くの企業が所在する朝陽区では居住するアパートによっては事実上毎日PCR検査を受けるように求められているところもある(5月20日時点)。

北京市では、朝陽区など一部の区での原則在宅勤務、一部地下鉄駅の封鎖、公共バスの一部路線区間の運航停止、飲食店の店内飲食禁止、一部の指定区域内の地点を目的地とする(または通過する)タクシーや配車サービスの停止などの防疫対策が継続されているほか、5月17日から「封控区」「管控区」(注2)周辺の一部の地下鉄路線や公共バスにおいて健康コードアプリ(および同アプリ内のPCR検査陰性証明画面)をチェックされるようになっており、5月19日からは、北京市と天津市間の通勤者に対し、北京市への出入りに際して毎回48時間以内のPCR検査陰性証明の提示を義務付けた。

朝陽区では商業ビルの賃料減免を推奨、最高100万元

朝陽区の発展改革委員会は5月17日、同区内の商業ビルの賃料減免を奨励するため、「朝陽区による商業ビルの賃料減免政策の支援に関する実施細則」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。入居している零細企業および個人事業主(注3)に対して賃料減免を自主的に実施した商業ビルに対して、減免総額の30%を商業ビルの運営者または財産権を有する機関(注4)に奨励金として支給する。ビル1棟当たりの奨励金額は最高100万元(約1,900万円、1元=約19円)、商業ビルの運営者または財産権を有する機関当たりの奨励金額は最高200万元となっている。

(注1)北京市政府の5月9日の発表によると、東城区、西城区、朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区の6区では奇数日に、順義区、通州区、昌平区などの11区では偶数日にPCR検査を行うとしている(2022年5月12日記事参照)。

(注2)「封控区」「管控区」の規制内容は次のとおり。

  • 「封控区」:マンションなどの自宅から出ることができない。
  • 「管控区」:自宅から出ることはできるが、外出範囲は小区(住宅エリア)内のみに限られる。人が集まることは禁止される。

(注3)登録地または納税地が北京市であり、サービス業に従事する零細企業および個人事業主を指す。

(注4)奨励対象は下記条件を同時に満たす商業ビルの運営者または財産権を有する機関となる。

  1. 朝陽区で経営していること。
  2. 条件を満たした入居企業に対し賃料減免の措置を実施したこと。
  3. 自社用以外の商業ビルを保有している(ショッピングモール、商業街などの部分は対象外)。
  4. ビルの建築面積が1,000平方メートル以上であること。
  5. 政府部門および所在地の行政単位に協力しビルの防疫対策を積極的に実施していること。

(趙薇)

(中国)

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