成都ユニバーシアードなど国際大会が相次ぎ延期決定

(中国)

成都発

2022年05月11日

中国・四川省成都市で6月27日に開幕予定だった第31回世界ユニバーシアード夏季大会について、国際大学スポーツ連盟(FISU)は5月6日、2023年に開催を延期すると発表した。同大会は当初2021年8月に開催予定だったが、世界中で広がる新型コロナウイルスの感染拡大や国際的な人的往来制限などの原因により、2022年に延期されていた。今回で2度目のコロナ禍を理由とした延期決定となる。

今回の延期は、FISU、成都2021ユニバーシアード組織委員会および他の関係者間の協議により決定した。FISU幹部は「延期を決めるのは簡単ではなかった。大学生の健康がわれわれの最大の関心事だ。関連する条件が引き続き不安定な中で、大会開催日程を見直すことは賢い選択だ。この決定により、来年の大会により多くの大学生が参加できるようになると信じている」と述べた。

成都市は2021年末、「成都市スポーツイベント体系規画(2021-2035年)」を発表、ユニバーシアード大会以降、中長期的に国際大会を誘致し開催するための行政システム整備を進めていた。また、開幕100日前の2022年3月17日には、大会開催前準備動員大会(中国語:大运会决战决胜誓师大会)が開かれ、参加した施小琳・中国共産党成都市委員会書記が、大会直前の準備を進めるよう指示したほか、翌18日にはメダルデザインも公開された。報道によれば、成都市政府は過去3年間で総額180億元(約3,600億円、1元=約20円)以上の予算を投じ、13カ所のスタジアム・競技施設を新設、36カ所の改修工事を実施し、計49カ所の競技施設も全て完成している。募集した大会ボランティアスタッフのトレーニングも実施中だった。

ユニバーシアード成都大会の延期が発表された同日、2022年9月に浙江省杭州市で開催が予定されていた第19回アジア競技大会の延期も発表された。また、汕頭市で開催予定だった第3回アジアユースゲームズも同日に中止が発表された。中国国内で開催予定の国際的なスポーツ大会の延期や中止が全て同じ日に発表されたのは、市内での厳しい防疫管理措置が続く上海市などで新型コロナ感染がいまだに沈静化しないため、世界各国・地域から多くの選手や関係者が集う国際大会の開催によりさらに状況が悪化することを防ぎたい、という中央政府の意向が反映しているともみられる。

写真 成都ユニバーシアード競技大会のメインスタジアム(ジェトロ撮影)

成都ユニバーシアード競技大会のメインスタジアム(ジェトロ撮影)

写真 成都市内のカウントダウンパネルは延期決定と同時に「0」に(ジェトロ撮影)

成都市内のカウントダウンパネルは延期決定と同時に「0」に(ジェトロ撮影)

(郭穎)

(中国)

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