中国DFD、高純度フッ化水素酸をTSMCの南京工場に納入

(中国、台湾)

上海発

2022年05月25日

中国の深セン証券取引所に上場する多▲(气のなかに弗)多新材料(DFD)は5月19日、ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の認証を受け、近日中にも、TSMCの南京工場(江蘇省)に高純度フッ化水素酸の納入を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

半導体向け高純度フッ化水素酸の生産はハードルが高く、中国の半導体生産企業は、長らく日本、米国、欧州などからの輸入品に依存してきた。高純度フッ化水素酸が生産可能な中国企業は足元でも3~4社に限られる(「証券時報」5月19日)。

DFDは、フッ化物、化学品などの材料事業を中心に展開しており、中でもリチウムイオン電池向け高純度ヘキサフオロリン酸リチウム(LIPF6)において世界トップレベルの生産量を誇る(注)。半導体向けフッ化水素酸の開発には2015年から乗り出し、国内市場(8~12インチ向け)にとどまらず、海外市場も積極的に開拓。2019年下半期に韓国へ輸出を果たしたほか、米国の半導体メーカーにも納入している。

DFDは半導体材料の旺盛な需要に対応し、新たに年間生産量3万トンの高純度フッ化水素酸工場を建設しているほか、フッ素窒素混合ガス(年間生産量100トン)、四フッ化ケイ素(同300トン)などの新規プロジェクトも進行中だ。いずれも2022年下半期に、市況に応じて順次稼働する予定だ。

(注)同社はLIPF6の生産能力を2021年末時点の2万トンから、2022年末に5万5,000トンへ引き上げる予定。

(劉元森)

(中国、台湾)

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