UAEで中国語学習者数の拡大が顕著に

(アラブ首長国連邦、中国)

ドバイ発

2022年05月06日

アラブ首長国連邦(UAE)と中国は、政治・経済的側面や新型コロナウイルス感染対策などで協力を進めているが、教育の場でも、中国語を学ぶUAEの学生が増えていることが明らかとなった。

現地メディア「ハリッジ・タイムズ(Khaleej Times)」の報道(4月24日)によると、UAE国内にある公立学校954校のうち142校が中国語の授業を導入している。内訳は、ドバイと北部首長国に73校、アブダビ首長国に69校などと全国に広がっており、幼稚園から高校までの公立学校が中国語コースを設置している。現在、中国語を学ぶ学生は約4万5,000人で、180人以上の中国語教師が指導している。

UAEで中国語学習を導入したのは、2006年にハムダン・ビン・ザイード・スクールが中国語コースを開始したことに始まる。当初はわずか20人の学生数だったが、その後、UAE政府が中国との関係強化を推進したことで、約15年で学習者数が急拡大した。

2017年にUAE教育省が北京の孔子学院本部を訪問し、UAEの公立学校で中国語のカリキュラムをどのように実施するかについて協議したことが契機となっている。孔子学院が作成した中国語プログラムの実施方法に関する提案書に沿い、わずか2カ月後に20人の中国語教師を採用。11の公立学校で10年生(日本でいう中学3年生)を対象に中国語の授業が開始されるなど、急ピッチで環境整備が進められた。

2019年にムハンマド・ビン・ザーイド皇太子が訪中した際に、UAE公立学校の学習カリキュラムに中国語を追加する覚書を締結。教育省は同年、公立学校で中国語をアラビア語と英語に次ぐ第3外国語とすることを承認した。同省は2030年までに合計200の公立学校に中国語教育を導入することを目標としている。

UAEにとって中国は、2021年の非石油部門の最大の貿易相手国で、UAE国内には中国企業が約6,000社進出していると報じられている(2021年12月時点)。UAEが中国を重視する姿勢は今後も続くとみられる。

(吉村優美子)

(アラブ首長国連邦、中国)

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