米エネルギー省、テキサス州とルイジアナ州の建設中・建設予定LNGプラントからの輸出承認

(米国、ロシア、ウクライナ、カタール、欧州)

ニューヨーク発

2022年05月06日

米国エネルギー省(DOE)は4月27日、テキサス州で建設中、ルイジアナ州で建設予定の液化天然ガス(LNG)プラントからの輸出を承認したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月にも欧州を念頭にLNG輸出を承認したが(2022年3月24日記事参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、最近になってロシアがルーブル建ての支払いを拒否したとしてポーランドとブルガリアへの天然ガス輸出を停止しており、欧州へのLNG輸出をさらに加速させたい狙いがあるとみられる。

承認されたLNGプラントは米エクソンモービルとカタール国営カタール・エナジーが建設を進めているテキサス州の「ゴールデンパス」と、米建設会社のグレンファーングループがルイジアナ州で建設予定の「マグノリア」の2カ所。前者は、最短で2024年から輸出開始予定で、これによりLNG輸出量は日量3億5,000万立方フィート(約99万1,090立法メートル)追加される見込み。後者については、日量1億5,000万立方フィート追加見込みだが、まだ建設計画段階にあり、2020年時点で開発担当者は2026年までに建設プロジェクト完了が望ましいと語ったとされ(「ワールドオイル」4月28日)、輸出開始にはかなりの時間がかかる見通しだ。なお、2022年3月のLNG輸出承認時と同様に、欧州全域を含む米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいない国や地域に対しても、今回の承認分は輸出可能としている。

DOEは声明で「(ロシア大統領の)プーチンのウクライナ侵攻を受けて、(米国は)世界のエネルギー安全保障に引き続き重要な役割を果たしていく」と述べている。

エネルギー省によると、最近になって米国のLNG輸出量は日量120億立方フィートと過去最高となっており、3月の承認分などが輸出可能になるに従って、2022年末までに日量130億立方フィート以上に増加する見込みとしている。しかし、今回の承認分が輸出開始となるのは最短でも2024年で、パイプラインを経由したロシアから欧州への天然ガス輸出量は、新型コロナウイルスのパンデミック下の2020年でさえも日量130億立方フィート以上と、エネルギー省は指摘している。暖房などで天然ガス需要が増加する冬までに、今後さらに供給が不安定化することが見込まれるロシア産天然ガスをどう補うか、欧州とともに米国の今後の対応が注目される。

(宮野慶太)

(米国、ロシア、ウクライナ、カタール、欧州)

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