S&P、韓国の信用格付けを「AA」、格付け見通しを「安定的」に据え置き

(韓国)

ソウル発

2022年05月06日

韓国の企画財政部は4月26日、米国の格付け会社のS&Pグローバルが韓国の信用格付けを「AA」、格付け見通しを「安定的」と評価したと発表した。これについて、同部は「韓国経済に対する対外的な信頼を再確認した」とコメントした。

一方、高い水準の家計債務への懸念や利上げに伴う負担増などへの指摘があり、「今後もS&Pグローバルと経済動向および政策の方向性に関する意思疎通の強化を通じて、対外信用度の向上に尽力していきたい」と付け加えた。S&Pグローバルによる主な評価は次のとおり。

1.経済

多くの高所得国に比べ、強固かつ迅速な成長が予想され、1人当たりのGDPは2025年に4万ドルを達成する見通し(注)。また、製造業の需要が輸出・投資の成長を下支えするとみられ、雇用の回復基調が家計所得および消費の成長に寄与することが予測される。

他方、今後の高齢化を見据えた生産性の向上が競争力維持の要となる。また、高い水準の家計債務は民間消費を制約する要因となる。

2.制度

民主的な政治制度を通じた予見可能な政策と先んじた対応が強みであるものの、北朝鮮関連のリスクは制約要因となる。

3.財政

政府の財政赤字(GDP比)は2023年までに縮小し、2024年から黒字に転換する見通し(注2)。韓国政府の財政状況は依然として強固であり、国家の信用度を支えている。ただし、北朝鮮リスク、公企業の債務は財政健全性の負担要因となる。

4.対外

対外純資産、為替市場の厚みと柔軟な為替レートは対外的バッファーの役割を担い、今後、経常収支は黒字が続く見通し。

5.通貨

物価安定目標制の順調な運営、中央銀行の独立性などに支えられ、金融政策は経済の安定、信用度の向上に寄与している。

(注1)S&Pグローバルによる韓国の経済成長率見通し(%):2022年2.5%、2023年2.6%、2024年2.5%、2025年2.2%。

(注2)S&Pグローバルによる一般会計財政収支の推定(GDP比、%):2022年マイナス3.0%、2023年マイナス1.2%、2024年プラス1.0%、2025年プラス1.0%。

(当間正明)

(韓国)

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