バイデン米政権、EUやG7と協調しロシアに追加制裁

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年05月10日

米国のバイデン政権は5月8日、EUおよびG7諸国との協調の下、ロシアに追加制裁を科すと発表した。ホワイトハウスのファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、追加の制裁は次の5点から成る。

  1. ロシアの国営メディア3社を「特別指定国民(SDN)」に指定:第1チャンネル(Channel 1)、ロシア・ワン(Russia 1)、NTVの3社につき、外国からの収益をロシア政府に還元していたことを理由に制裁対象に指定。
  2. 米国人(注1)がロシア国内にいる個人・事業体に会計などコンサルティングサービスを提供することを禁止:ロシアの企業やエリート層が戦争のための資金を築くことを阻止するため、6月7日以降、米国人によるこれらサービスの提供を禁止。
  3. ロシア産原油輸入の段階的廃止または禁止:米国は既に同措置を実施済みだが(2022年3月9日記事参照)、G7全体で実施することで合意。
  4. 米国からロシアへの、木材製品や産業用エンジンなどの輸出管理の強化:ロシアの軍事力を支援し得る製品へのアクセスを制限。また、ロシアのライフル製造企業や船舶企業らをSDNに指定。
  5. ロシアのエリート層とその親族への制裁、およびロシア・ベラルーシ政府関係者への米入国ビザ規制:ロシアの金融最大手ズベルバンクの取締役8人やガス最大手ガスプロムの取締役27人、金融大手モスクワ・インダストリアル・バンクとその子会社などをSDNに指定。また、ロシアとベラルーシの軍関係者2,000人以上に米入国ビザ規制を発動。

上記を踏まえたSDN指定については、財務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび追加対象リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。SDNには、在米資産の凍結および米国人との資金・物品・サービスの取引禁止の制裁が科される。また、SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる(注2)。輸出管理の強化については、商務省が5月11日付で公示する官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。ビザ規制については国務省のファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

また、商務省は5月9日、ウクライナ支援の観点から、1962年通商拡大法232条に基づいて外国からの鉄鋼輸入に課している25%の追加関税について、ウクライナからの輸入に対しては1年間停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2022年2月以降に米国が発動した対ロシア・ベラルーシ関連の制裁については、添付資料を参照。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権がおよぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)ウクライナ情勢に関する財務省の制裁の全容は、同省の「ウクライナ/ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定された個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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