米カリフォルニア州、暗号資産やブロックチェーンに関する規制方針の策定開始

(米国)

サンフランシスコ発

2022年05月16日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は5月4日、「Web3」(注1)と呼ばれる次世代インターネット市場の広がりに対応するため、イノベーション促進と消費者保護の観点から、規制方針の策定プロセスを新たに開始するとの知事令に署名した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。今後、州政府など公的機関におけるブロックチェーン技術の活用方法のあり方についても検討していく方針だ。

今回の知事令は、2022年3月にジョー・バイデン大統領が発出したデジタル資産の研究開発加速を命じる大統領令(2022年3月10日記事参照)に基づき、昨今急速に成長する暗号通貨やブロックチェーンなどWeb3市場に対応しようとするもの。暗号通貨の時価総額は2021年11月に3兆ドルを超えた(注2)。スタートアップ関連データベースのピッチブックによると、ベンチャーキャピタル(VC)が支援する暗号通貨やブロックチェーン関連企業のステージ後期の資金調達後評価額は、2022年4月時点で前年比平均91%増の39億5,000万ドルとなった。その他の分野の当該評価額が同約7億ドル、前年比14%減であることからも、非常に高い期待を集めているといえる。ニューサム知事は公式発表の中で「政府は往々にして技術の進歩に遅れをとるが、(Web3イノベーションに関しては)われわれが先手を打ち、消費者や企業が繁栄するよう基礎を築く」と述べた。

同州は、規制方針の策定プロセスを開始するに当たり、優先事項として、ブロックチェーンで事業を行う企業に対して透明性かつ一貫性のあるビジネス環境を構築し、暗号資産を含むブロックチェーン技術のイノベーションを促進するための研究や人的環境を生み出す機会を見極めることなどを挙げている。

(注1)別名Web 3.0。次世代(第3世代)インターネットを指すブロックチェーン技術を活用した分散型ウェブ。現在はWeb2.0で、テック大手など特定企業に個人情報やデータが集中しているが、Web3.0ではデータの分散管理や非中央集権化が可能になる。

(注2)5月10日現在、約1兆5,000億ドル。

(田中三保子)

(米国)

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