タイがインド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加へ

(タイ、米国、ASEAN)

バンコク発

2022年05月24日

タイ政府は5月17日、「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み(IPEF)に関する声明」案を閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、タイ外務省が米国に対してIPEFに関する協議への参加意向を通知することが可能となった。国名が記載された声明であるが、現段階ではタイへの法的な拘束力はない。IPEFに関する声明は、参加国との経済協力強化の意思を表明し、IPEFの下での協力の概要や分野別協力の詳細を議論することを目的としている。

声明の草案では、インド太平洋地域における経済協力を推進するという参加国の意思を表明し、安定的かつ包括的な経済成長と持続可能な開発を強化するため、IPEFの枠組みを協議するとしている。協力には(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーンエネルギー・脱炭素・インフラ、(4)税制・腐敗防止という4つの柱がある。本枠組みが妥結された後、参加国はその準備状況や意志に応じて、上記の柱のすべて、またはいずれかに自由に参加することができる。

2国間協議では米国側からIPEF立ち上げ発表に招待の提案

タイ商務省貿易交渉局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務相は5月20日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表と2国間協議を行った。その際に米国側から、6月11日ごろにパリで開催が予定されるIPEF立ち上げにかかる発表の場に、タイ政府も招待したいとの提案があったという。

なお、IPEFのほか、米国=タイ2国間会談で議論された事項は以下のとおり。

1.タイ側から米国に対する要請

  • 2022年9月に見直しが予定されている米国の知的財産権に関する監視リスト(WL)からタイを除外すること。
  • 「サプライ・アメリカ」政策において、タイが米国に対する原材料・部品の供給元として関与できるよう、また、上流・中流の原材料(電気自動車用バッテリー、食品、医薬品、半導体など)の製造に投資できるよう支援すること。
  • 2022年のAPEC貿易担当大臣会合後に発表される共同声明への支持。

2.米国側からの提案

  • 米国がタイをAPEC議長として支持し、米国が2023年のAPEC議長になることについてタイの支持を求めること。
  • 新型コロナウイルス感染拡大のため延期されているWTO第12回閣僚会議(MC12)の開催とWTO改革の加速、WTO上訴機関の設立を推進すること。

貿易交渉局によると2021年のタイ=米国間の貿易額は560億ドル。米国は、中国、日本に次ぐタイの第3位の貿易相手国であり、輸出相手国としては首位だ。輸出額は410億ドルで、主な輸出品目は、コンピュータ・同部品、ゴム製品、宝石・貴金属、自動車・同付属品などとなっている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国、ASEAN)

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