国交正常化後、初のサウジ・タイ投資フォーラムを開催

(サウジアラビア、タイ)

リヤド発

2022年05月25日

サウジアラビア政府は5月16日、リヤド市内でサウジ・タイ投資フォーラムを開催した。今年1月の国交正常化後、初の大型経済イベントとなった同フォーラムには、タイのドーン・ポラマットウィナイ副首相兼外相率いる政府関係者のほか企業幹部が参加した(注)。タイ側の報道によると、企業幹部は農業、食品、エネルギー、化学、不動産、建設、素材、自動車、観光、ヘルスケアなど幅広い産業から総勢38人を数えた。

投資フォーラムでは、両国がそれぞれ期待する投資有望分野を中心に積極的な対話が行われた。サウジアラビアのハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相は「新分野の発展や質の高い雇用を創出する上でタイ企業が果たすであろう役割について、われわれは興奮している」と述べ、タイ企業による対内投資への期待を表明した。同氏は、国家戦略「ビジョン2030」でサウジアラビア政府が推進する、環境に優しい経済特区を目指す「NEOM」、紅海沿岸地域の大規模開発を伴う「紅海プロジェクト」(The Red Sea Project)などの国内大型プロジェクトへ、タイ企業の参画を促す姿勢を強調した。投資省はタイのGULF(エネルギー)、SCG(建材)、INDORAMA(化学品)、DUSIT(観光)との間で個別の覚書(MoU)も締結した。

一方、タイ政府も先進的製造業、医療観光を含めた幅広い観光分野など同国が力を入れている産業分野での協力強化を呼び掛けた。タイ商工会議所が組織するタイ貿易院がサウジアラビア商工会議所連盟と締結したMoUには、貿易展示会支援、投資や規制に関する情報交換、ビジネス円滑化に加え、将来的な自由貿易協定(FTA)に向けた対話も含まれている。

両国間ではビジネス交流を支える直行便の就航も進む。サウジアラビア航空は既に5月から就航を開始しており、タイ国際航空も7月から同様に乗り入れを予定している。

タイのミッション団はリヤドでの滞在後、18日まで西部の商業都市ジッダ、北西部の観光都市アル・ウラの世界遺産などを視察した。

(注)1989年にサウジアラビア王室でタイ人の従業員が2,000万ドル相当の貴金属を盗難した事件を契機に、サウジアラビアはタイからの渡航を制限するなど、限定された外交関係が続いていた。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、タイ)

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