2022年第1四半期のGDP成長率(速報値)は前年同期比1.6%

(メキシコ)

メキシコ発

2022年05月12日

メキシコ国立地理情報統計院(INEGI)は4月29日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)について、前年同期比1.6%、前期比(季節調整済み)0.9%と発表した(注)。

2022年第1四半期の主要産業別GDP成長率をみると、第二次産業(鉱業、建設、製造業、電力・水道)が前年同期比2.9%と好調だった。製造業においては、半導体不足などの供給難は続いているものの、輸出の伸びが好影響となった。INEGIによると、工業品の2022年2月の輸出額は前年同月比27.7%増、3月は19.9%増と大きく増加している。内訳をみると、自動車関連製品の輸出額が2月に31.8%増、3月に18.9%増、その他の工業品も2月に25.6%増、3月に20.4%増と伸長した。第三次産業(サービス業)は前年同期比0.6%にとどまった。2022年の1月中旬から3月上旬にかけて新型コロナウイルスのオミクロン株が流行を拡大し、外出自粛の傾向が強まったことなどが影響したとみられる。第一次産業(農牧林水産業)は前年同期比1.8%で、前期比(季節調整済み)ではマイナス1.9%と後退した。農牧林水産業は2021年第2四半期に前年同期比6.4%、2021年第4四半期には同4.7%と堅調に推移していたが、干ばつなどの天候不順により作物収穫量が低下したことや、不作に加えて農薬価格が上昇し野菜・果実などの価格が高騰していることが押し下げ要因となったとみられる。

2022年第1四半期の実質GDP成長率は、季節調整済み前期比では、第二次産業、第三次産業ともに1.1%、全体では0.9%だった。

専門家はインフレ率上昇への懸念を強める

メキシコ中央銀行が5月2日に発表した、国内外38の民間シンクタンクを対象に行ったアンケート(4月22~28日実施)では、2022年の実質GDP成長率の予想値(各回答の平均)が1.73%となり、前月実施時から0.03ポイント低下した。また、経済成長の阻害要因として挙げられたのは、「国内のインフレ率上昇圧力」(16%)、「国内政策の不確実性」(11%)、「治安の問題」(11%)、「内需の脆弱(ぜいじゃく)性」(8%)、「原材料価格などの増加」(8%)だった。「国内のインフレ上昇圧力」は、2021年8月のアンケート実施時には全体の4%にすぎなかったが、9月には8%、12月には12%と拡大し、2022年4月の調査では16%に達して、最大の阻害要因となった。

(注)5月25日に業種別のデータが発表される予定で、成長率が微修正される可能性もある。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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