広州税関が貿易安定化に向けた措置を発表、南沙新港・白雲空港などの代替利用を支持

中国・広州税関（注1）は5月20日、「広州税関における貿易の安定化および質の向上を促進するための25項目の措置」（以下、同措置）を発表した。同措置は、中国税関総署が5月10日に新型コロナウイルスの防疫措置と貿易の安定化の両立を図るとして打ち出した「貿易の安定化および質の向上を促進するための10項目の措置」（注2）を、地域の実情に合わせて具体化したもの。

同措置で盛り込まれた主な内容は以下のとおり。

• 貿易に関わる物流、通関の円滑化を保障。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中国各地の空港、港の混雑を緩和するため、広州市の南沙新港、白雲国際空港、仏山市の仏山港などを代替港・空港として利用することを支持する。企業の通関に関する問題を調査して、通関手続きの簡素化・円滑化を図る。
• ハイテク企業の効率的なサプライチェーンを確保。真空包装などのハイテク製品の貨物に対する税関検査簡素化に向けた試験的取り組みを拡大する。
• 鉱物、原油などの輸入に際する迅速な通関を保障。税関の監管場で検疫検査を実施　し、合格した貨物は先に通関。実験室での検測や検疫証明書の発行は通関後に行う方式を採る。
• 条件を満たす港に対し､輸入貨物向けの「船側直取り（注3）」と輸出貨物向けの「着港直積み（注4）」の適用をさらに拡大。

広州市黄埔税関（注5）も5月23日に、税関総署の措置を具体化した20項目の措置を発表した｡広東・香港・マカオグレーターベイエリア（粤港澳大湾区）の物流一体化の推進、中欧班列による輸送時の通関業務の迅速化などを盛り込んだ。

広東省税関によると、広東省2022年1～4月の貿易額は前年同期比1.6％増の2兆5,383億3,000万元（約48兆2,283億円、1元＝約19円）。伸び率は中国全体（7.9％）を6.3ポイント下回った。うち、輸出は5.1％増（中国全体は10.3％増）の1兆5,955億元、輸入は3.8％減（同5.0％増）の9,428億元となった。

（注1）広州税関の管轄範囲は広州市の越秀区、海珠区、茘湾区、天河区、白雲区、花都区、番禺区、南沙区、従化区、仏山市、肇慶市、韶関市、清遠市、雲浮市、河源市および深セン市大鋤島の税関。

（注2）重点地域における円滑な産業チェーン・サプライチェーンの確保、企業の緊急需要貨物の通関の迅速化、海外との貨物・郵便の物流効率化のための措置などが盛り込まれた。

（注3）｢船側直取り｣とは、輸入貨物を税関へ事前申告し、企業は貨物の輸送時間を利用して通関申告、審査、税金納付などの通関手続きを行い、入国船舶が港に到着した後、税関検査を必要としない輸入貨物を、本船の船側で荷主に直接引き渡す方式｡

（注4）｢着港直積み｣とは、輸出貨物が埠頭（ふとう）に到着する前に税関へ事前申告し通関手続きを行う方式｡

（注5）黄埔税関の管轄範囲は広州市の黄埔区、増城区、東莞市の税関。

（梁梓園）