米テキサス州の司法長官予備選決選投票、トランプ氏支持の現職が共和党候補に

(米国)

ヒューストン発

2022年05月26日

5月24日に行われた米国テキサス州の司法長官予備選挙の共和党候補決選投票で、現職のケン・パクストン氏が対立候補の同州公有地管理庁のジョージ・P・ブッシュ長官(注1)を抑え、共和党候補として勝利確実となった。3月1日に行われた予備選挙では過半数を獲得した候補者がいなかったため、上位2人の両氏が今回の決選投票に臨んだ(2022年3月2日記事参照)。

パクストン氏は勝利演説で、共和党が「バイデン政権を倒す」ために11月の中間選挙に目を向けるよう支持者に訴えるとともに、「テキサス州がいかに強固な立場で全米を導き、バイデン政権を撃退し、憲法を守り、国を救ったか、今後語られることになるだろう」と述べた。

パクストン氏は2021年7月、ドナルド・トランプ前大統領から司法長官再選に向けた支持を取り付けていた。両氏の関係は近く、2020年の大統領選後、パクストン氏はテキサス州司法長官として激戦州4州の選挙結果を無効と訴え(最高裁が棄却)、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の直前に開催された集会にも参加していた。

他方で、パクストン氏は職権乱用に関する連邦捜査局(FBI)の捜査を受けたり、2015年に起訴された証券詐欺疑惑に直面したりしていた(本人はいずれも否定)。こうした影響を受け、同氏が3月の予備選挙で過半数の得票率に至らなかったと指摘する報道もあった(「ヒュースストン・クロニクル」紙3月2日)。しかし、最終的には共和党候補者として選出されたことから、テキサス州でのトランプ氏の影響力が依然として強いことがうかがえる。

民主党の候補者は、元米国自由人権協会(ACLU)所属の弁護士ロシェル・ガルサ氏が、元ガルベストン(注2)市長のジョー・ジャウォルスキー氏を抑えて勝利した。共和党候補のパクストン氏と民主党候補のガルサ氏が争う司法長官選挙は11月8日に行われる。

なお、テキサス州では1999年以降、共和党の司法長官が就任している。また、1995年以降は共和党が知事に就いているほか、州議会でも共和党が上院で1997年以降、下院で2003年以降、多数党を維持している。

(注1)ジョージ・W・ブッシュ元大統領の弟であるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の長男。

(注2)ガルベストンは、ヒューストン市南東に位置するメキシコ湾に面した都市。

(深澤竜太)

(米国)

ビジネス短信 5c320ea458a7dcc3