英水素バスメーカー、オーストラリア企業との連携発表

(英国、オーストラリア)

ロンドン発

2022年05月18日

北アイルランドのバス製造企業ライトバス(Wrightbus)は5月11日、オーストラリアのバス車体製造大手のボルグレン(Volgren)との提携を発表。ライトバスは水素燃料電池パワートレイン技術を提供。2023年初頭をめどにオーストラリアで実証実験が行われる予定となっている。

ライトバスは北アイルランド北東部のバリーメナに拠点を有する企業で、ダブルデッカー(2階建て車両)の水素燃料電池バス(以下、水素バス)などを製造している。同社の水素バスは2021年1月にスコットランドのアバディーンで導入され、その後、ロンドン、バーミンガム、アイルランドのダブリン、北アイルランドのベルファストなどで運行を開始している。

低炭素輸送関連の調査・分析を行う非営利団体のゼモ・パートナーシップによれば、英国内で同社のバスはロンドン、バーミンガムでそれぞれ20台、アバディーンで15台、北アイルランドで3台が運行している。

ロンドン市によれば、水素バス用の水素はフランス・エアリキードのランコーン工場で産業用クロルアルカリの副産物として製造されたものを使用している。輸送はオックスフォードのライズハイドロジェンが担当する。燃料補給設備はデンマークのエンジニアリング企業ネルハイドロジェンが提供しており、1日1回5分程度の補給で運行が可能としている。

ゼロ排出バスネットワークの拡大に期待

2020年時点で、イングランドのバスネットワークに占めるゼロ排出バスの割合はわずか2%で、依然として低い割合にとどまっており、今後の拡大が期待される。イングランド中部コベントリーのバス運行事業者ナショナルエクスプレスコベントリーは2022年1月、2025年までに同地域のバスネットワークを完全電動化することを発表。バスネットワークの完全電動化は英国の都市では初とされている。

(山田恭之)

(英国、オーストラリア)

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