ハンガリー、ロシア産原油の禁輸措置に反対、代替案の提示を要求

(ハンガリー、ウクライナ、ロシア)

ブダペスト発

2022年05月17日

オルバーン・ビクトル首相は5月9日、ブダペストで欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談し、欧州委員会による対ロシア制裁措置がハンガリー経済に与える影響について話し合った。会談後、フォン・デア・ライエン委員長は「オルバーン首相との会談で、制裁とエネルギー安全保障に関する課題を明確にすることができた」と自身のSNSに投稿した。これに対してハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は、SNSで「小さな一歩を踏み出した」としながらも、合意に向けた話し合いはまだまだ先が長いとの認識を示した。

この会談に先立つ5月4日、欧州委員会は、加盟国がロシア産原油の輸入禁止措置を取る意向を表明したが、ハンガリー政府は、この計画について、ハンガリー経済の破壊につながるとして反対を表明していた。シーヤールトー外貿相は「ハンガリー国民が戦争の代償を払わされる訳にはいかない」とし、導入までの猶予期間の設定ではなく国民生活への影響を回避できる代替案の提示を求めた。さらに同外貿相は「この制裁措置がハンガリーにもたらす問題について、欧州委員会委員長に書簡で詳しく伝え、再考をお願いした。欧州委員会が解決策を提示しない限り、ハンガリーはこの制裁策を支持することはできない」と強い姿勢を示している。

また、シーヤールトー外貿相は5月10日、ブリュッセルで会見し、「欧州委員会の提案は、ハンガリーの安定的なエネルギー供給を破壊してしまう」と懸念を示した。安価な石油・ガスが調達できなくなれば、ガソリン価格はリットル700フォリント(約245円、1フォリント=約0.35円)、軽油も800フォリントに値上がりすることが予想され、家庭向けの光熱料金も大幅に上げざるをえなくなる。同外貿相は「国内の石油精製インフラの調整にも莫大な投資と時間が必要になり、ハンガリー政府はこれを許さない」と憤りをあらわにした。さらに、「ブリュッセルは、自分が引き起こした問題を解決しなければならない。そして、ハンガリーが制裁パッケージを支持するかどうかは、それからしか話すことがでない」と強調した。

ハンガリーのシンクタンクであるサーザッドヴェーグが、5月9日に発表した調査によると、ハンガリー国民の大多数は、ロシアに対するさらなる経済制裁の発動を支持していない。回答者の89%が、ロシアへの経済制裁はEUとその経済に有害であると考えている。また71%が、この制裁を天然ガスや石油などのエネルギー商品に拡大することに反対している。

(バラジ・ラウラ)

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