英政府、ウクライナ情勢を踏まえ新たな貿易制裁措置を発表

(英国、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年05月10日

英国政府は5月9日、ウクライナ侵攻に関連し、ロシア、ベラルーシに対する新たな制裁パッケージを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。プラチナやパラジウムを含む産品の輸入に対して35%の追加関税を賦課するほか、化学品、プラスチック、ゴム、機械などの主要原材料に対して輸出禁止措置を導入する。今後、法案を議会に提出し、施行する予定。歳入関税庁のデータによれば、今回発表された追加関税の対象製品の2021年の両国からの輸入額は約13億ポンド(約2,093億円、1ポンド=約161円)となっている(対象品目リストは英国政府サイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)。うち、パラジウムなどを含むプラチナ(HS7110項)のロシアからの輸入が12億5,000万ポンドと大半を占めている。さらに、政府はロシア産品を輸入する国内の輸入者に対して、代替サプライヤーから調達するよう呼び掛けた。

政府は5月7日、ウクライナに対して、移動式発電機287台を提供することを発表した。これにより、病院や避難所など比較的大きな施設への電力供給が可能となるとしている。また、政府は同国のエネルギーや燃料需要への対応のため、海外の化石燃料部門への直接的な金融支援などの禁止措置に関して、ウクライナと東欧地域を一時的に対象外とする措置を導入。これにより、ウクライナ国内の物資の供給や冬に向けたエネルギー備蓄の確保を支援するとしている。一方で、長期的には、化石燃料への依存を防ぐため、両地域を含め世界的にクリーンエネルギーに注目する必要があるとし、クリーン発電への移行を加速することで、気候変動対応にもエネルギー安全保障にもつながるとし、あくまで一時的な措置であることを強調した。

(注)政府プレスリリースでは、14億ポンドの輸入に相当すると説明されている。

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ)

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