北京市、封鎖・管理区域以外の感染者ゼロ目指し連日PCR検査を実施

(中国)

北京発

2022年05月13日

中国・北京市政府は5月12日の記者会見で、中心部の朝陽区など市内の12の区において5月13、14、15日の3日間、毎日PCRスクリーニング検査を実施すると発表した(注1)。また、13日は在宅勤務を行い、14、15日は自宅で休息して人流を減らすよう呼び掛けた。

市政府の徐和建報道官は、現在、北京市では社会面(封鎖区域や管理区域、集中隔離施設などを除くエリア)において依然として感染者が散発的に確認されており(注2)、新型コロナウイルスの感染拡大との勝負は膠着状態にあると指摘した上で、ウイルスの感染経路を迅速に遮断し、社会面における感染者ゼロをできるだけ早期に実現するため今回の措置を取ると説明した。なお今後は、3回のPCRスクリーニング検査実施後に検査結果の評価を行った上で、状況を見つつ次のPCRスクリーニング戦略を決めるとした。

一方、徐報道官は、3日間のPCRスクリーニング検査期間中は市民が移動を減らすことを求めるのみであって「ロックダウン」を行うわけではないと述べ、食料品の買い占めや物資の買いだめなどは必要ないとした。市民の生活にとって必要な物資の供給は十分であり、フードデリバリー(注3)や宅配の配送も止めないとした。

北京市では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月下旬以降、大規模なPCR検査の実施や一部指定区域での行動制限など防疫対策が強化されている(注4)。朝陽区などでは、オフィスで勤務する形態の企業などが原則在宅勤務となっているほか、一時営業停止となっている商業施設もみられる。5月12日からは、市全域の公共施設への入場について、48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必要となっている(2022年5月12日記事参照)。

また、交通面では、一部の地下鉄駅の封鎖や公共バスの一部路線区間の運行停止が行われているほか、5月12日からは、朝陽区の南部エリア(朝陽路以南の地域、朝陽路は対象に含まない)、房山区、順義区(北京首都国際空港を除く)へ向かう(または通過する)タクシーの運行や配車サービスの提供が一時停止された(「北京日報」5月11日)。これにより、滴滴などの配車アプリ上で、上記の対象エリア内の場所を目的地として指定すると配車サービスを利用できなくなっている(5月13日時点)。

(注1)今回PCRスクリーニング検査を実施するのは、朝陽区のほか、東城区、西城区、海淀区、豊台区、石景山区、房山区、通州区、順義区、昌平区、大興区、経済技術開発区となっている。

(注2)5月12日の北京市記者会見の発表によると、5月11日午後3時から5月12日午後3時までの北京市の新規感染者は36人で、そのうち朝陽区が14人だった。また、36人のうち、封鎖・管理区域内の感染者は32人、封鎖・管理区域以外で実施されているPCRスクリーニング検査によって確認された感染者が4人だった。

(注3)市内の飲食店における店内飲食(屋外のテラス席や屋台などでの飲食も含む)は一時停止されており、デリバリーやテークアウトのみ可能となっている。

(注4)5月12日の北京市記者会見での発表によると、今回の感染拡大期間(4月22日~5月12日午後3時時点)における北京市の累計感染者は928人となっており、朝陽区(349人)をはじめとする15の区で感染者が確認されている。

(小宮昇平)

(中国)

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