上海市、4月の主要経済指標が軒並み悪化、消費や工業生産は大幅減

(中国)

上海発

2022年05月30日

3月末から上海市で実施されている新型コロナウイルス対策の封鎖管理措置(2022年4月15日付地域・分析レポート参照)は、同市経済に大きな影響を与えている。同市統計局が5月19日に発表した4月単月の主要経済指標は、軒並み前年同月比マイナスを記録した(添付資料表参照)。

需要面の指標をみると、消費動向を示す社会消費品小売総額の伸び率は1~4月が前年同期比14.2%減、4月単月では前年同月比48.3%減とほぼ半減した。とりわけ、4月の宿泊・飲食業の小売額は、封鎖管理により生活必需品以外の商品購入や外食などが制限されたため、前年同月比69.0%減と、特に打撃が大きかった。

固定資産投資は1~3月期は前年同期比3.3%増だったが(2022年5月6日記事参照)、1~4月期は同11.3%減と2桁のマイナスとなった。このうち、インフラ投資は21.4%減、工業投資は17.7%減、不動産開発投資は10.0%減と、3項目とも前年同期比伸び率がマイナスに転じた。

上海海関の発表によると、4月単月の同市の貿易総額(人民元ベース)伸びは前年同月36.5%減と、3月(2.0%増)から一転して急減した。主要な貿易相手先別動向をみると、輸出では、日本向け(56.6%減)、台湾向け(54.0%減)、米国向け(47.3%減)の減少幅が大きかった。輸入では、米国からの減少幅(40.7%減)が大きく、日本(29.0%減)など他の国・地域からの輸入も2~3割減となった。

供給面では、工業企業の生産総額伸び幅は1~4月が前年同期比12.6%減、4月単月では61.6%減となった。

中国人民銀行調査統計局の元局長で、中欧国際工商学院(CEIBS)の盛松成教授は「上海は中国の経済・金融の中心地域のため、(上海市経済の動向は)長江デルタにとどまらず、中国全体に影響を与える」とした上で、「(上海周辺の)サプライチェーンの停滞が長期化すれば、中小・零細製造業の存続が困難になるほか、グローバルサプライチェーンの調整も加速する可能性が高い」と指摘した(「中国新聞網」5月22日)。

(劉元森)

(中国)

ビジネス短信 32be916ca8df48b7