4月の米消費者物価、前年同月比8.3%で伸び鈍化も、前月比コアは0.6%で再加速

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月12日

米国労働省が5月11日に発表した2022年4月の消費者物価指数(CPI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は前年同月比8.3%上昇、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同6.2%上昇と、共に8カ月ぶりに減速した(添付資料図参照)。民間予想はそれぞれ8.1%、6%だった。前月比ではCPIは0.3%上昇、コア指数は0.6%上昇だった(民間予想はそれぞれ0.2%、0.4%)(添付資料表参照)。

品目別に前年同月比で見ると、食料品が9.4%上昇(前月:8.8%上昇)と伸びが加速、特に家庭用食品が10.8%上昇(10.0%上昇)と引き続き伸びが高い。ガソリンは43.6%上昇(48.0%上昇)と伸びが鈍化、前月比でも6.1%低下と、ウクライナ情勢緊迫化による前月の急上昇の反動で大きく減速した。財では中古車が22.7%上昇と伸びが鈍化、前月比でも0.4%低下したが、新車は13.2%上昇、前月比でも1.1%上昇と伸びが加速した。財全体では前年同月比9.7%上昇と前月(11.7%上昇)より伸びが鈍化した。サービスは4.9%上昇で財に比べ小幅だが、物価全体で3割程度のウエートを占める住居費が5.1%(前月5.0%上昇)と伸びがわずかに加速した。航空運賃は33.3%上昇で、前月に引き続き大きく伸びた。

4月の前年同月比の伸びは鈍化したが、これは2021年4月以降から物価が急上昇したことによって比較される前年同月の土台が高くなっている影響が大きい。前月比ではCPIは、ガソリンなどエネルギー価格が4月は急減した影響から、0.3%上昇と鈍化したものの、5月に入りガソリン価格は再び上昇しており、5月11日時点の1ガロン(約3.8リットル)当たりのレギュラーガソリンは4.4ドルと過去最高を記録するなど、5月も今回の鈍化傾向が続くかは不透明だ。加えて、食料品・エネルギーを除くコア指数の前月比は0.6%上昇と伸びが加速しており、これはウエートの大きい住宅費の高止まりの寄与が大きい。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め姿勢の転換により、年初に3%前半だった住宅ローン金利(30年固定)は5%半ばまで上昇、1~3月期の住宅ローン組成額は前期比17%減と急減しており(2022年5月11日記事参照)、住宅価格には下落圧力がかかるが、住宅費への反映にはラグがある。今回の伸び率鈍化により物価上昇はピークを打ったと期待されるが、物価目標の2%には程遠く、今回結果はFRBの引き締め姿勢に影響を与えるほどではないと言えそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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