次期行政長官に李家超氏、「4大政策」実施に全力

(香港)

香港発

2022年05月11日

香港で5月8日、次期行政長官選挙が行われ、唯一の立候補者だった前政務長官の李家超(ジョン・リー)氏が当選した。一般市民に直接の投票権はなく、各界の代表である選挙委員1,461人のうち1,428人が投票に参加。李氏は投票者全体の99%を超える1,416票を獲得し、過去最高の得票率となった。なお、不信任は8票、無効票(白票)は4票だった。7月1日の香港返還記念日に就任する予定で、任期は5年間となる。

マニフェストとして掲げた「4大政策」を全力で実施

李氏はマニフェスト(政権公約)として、(1)政府のガバナンス強化、(2)より多くの住宅・より良い生活の提供、(3)香港の競争力向上、(4)思いやりと包容力のある社会の構築と若年層の発展支援の「4大政策」を掲げている。

(1)について、李氏は「結果を出す政府」を提唱しており、行政長官就任から100日以内に、政府業務の明確な目標とKPI(重要業績評価指標)を設定するとしている。また各地域の草の根組織と政府との関係を緊密化するほか、域内18区にボランティアネットワークを構築し、地域行政の効率化や災害時の支援強化を図る。

(2)については、特に喫緊の課題とされている住宅問題への対応として、公営住宅への入居待ち期間の短縮や民間を活用した公営住宅建築スキームの導入、土地収用や整備の加速化などを掲げている。

(3)は、これまで築き上げてきた香港の国際金融センターとしての地位を更に強固なものとするほか、国際イノベーション・テクノロジーセンターとしての発展を目指し、国際科学研究都市として産官学各界の領域と地域を超えた協力関係構築を進めるとしている。また、香港と広東省深セン市の隣接エリアに新都市を開発する「北部都会区」構想について、今後の香港の発展のための新エンジンとして位置付け、構想実施のための専門部署を設立する。

(4)については、市民の福祉が社会発展の鍵になるとし、医療や看護システムの改善、貧困家庭の児童支援や年長者の生活補助、青少年への職業訓練や創業支援策の実施などを行うとしている。

李氏は当選後の記者会見で、政府は市民の問題解決を第一に考えなければならず、行政長官就任後はマニフェストの実現に向けて、全力で取り組むとコメントした。

(渕田裕介)

(香港)

ビジネス短信 18b62bbe6dfa324e