英国、スイスとのサービス分野含む新たなFTA締結へ交渉開始に合意

(英国、スイス、ウクライナ、ロシア)

ロンドン発

2022年05月02日

英国政府は4月28日、ボリス・ジョンソン首相が2国間協議のためロンドンを訪問していたスイスのイグナツィオ・カシス大統領と会談し、スイスとの2国間貿易協定を拡大し、新たな自由貿易協定(FTA)の締結に向けた取り組みを開始することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

スイスとの間では現在、EUから継承して2021年1月に発効した「英国・スイス貿易協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」があり、多くの英国企業は、ほとんどの物品で関税免除の恩恵を受けている一方、2国間貿易の半分を占めるサービスについては同協定の対象外となっている。交渉開始を目指す新たな協定では、デジタル貿易や革新的なサービス、グリーン成長などの新産業で2国間の関係を引き上げ、全国に高賃金の雇用をもたらすとした。特に、金融、法律サービス、コンサルタント、技術部門、クリエーティブ産業など、英国経済の重要な産業の貿易を支援し、デジタル貿易の新しいルールと基準の設定に貢献するとした。

2020年の両国間の総貿易額は、財が約174億ポンド(約2兆8,362億円、1ポンド=約163円)、サービスが約170億ポンドの計345億ポンドで、英国の貿易総額の3%弱を占め、第10位の貿易相手国となっている。内訳をみると、スイスへの輸出が243億ポンド、スイスからの輸入が102億ポンドと大幅な輸出超過となっている。なお、2020年10月~2021年9月までの4四半期で見た両国の貿易額(財・サービス)については、英国からの輸出が194億ポンド、スイスからの輸入が144億ポンドの計338億ポンドとなっている。

国際通商省は交渉開始に先立ち、スイスとのFTAについて企業や一般市民に向け8週間の意見公募を開始している。アン・マリー・トレビリアン国際通商相は同協定について、サービス大国である両国の経済を活性化し、欧州にありながらEUに属さず、志を同じくする2つの革新的な国の間の可能性を世界に示すものとなるとコメントした。

また、ジョンソン首相とカシス大統領との会談では、2国間関係や国際協力をさらに強化するための共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと、ウクライナ情勢に関するロシアへの制裁措置の情報共有とウクライナからの避難民を受け入れる人道支援で協力することなどを盛り込んだ共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表された。

(宮口祐貴)

(英国、スイス、ウクライナ、ロシア)

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