クシュナー前米大統領上級顧問の新ファンド、サウジ資金をイスラエルに投資へ

(イスラエル、サウジアラビア、米国、インドネシア)

テルアビブ発

2022年05月09日

イスラエルの複数の現地紙は5月7日、同日付「ウォールストリート・ジャーナル」の記事を引用するかたちで、ドナルド・トランプ前米大統領の娘婿で、大統領上級顧問を務めたジャレッド・クシュナー氏が代表を務める新しいファンド「アフィニティ・パートナーズ」が、サウジアラビアのソブリンウェルスファンドである「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」の出資を受けるとともに、その資金の一部をイスラエルに直接投資する見込みと報じた。

現地紙「グローブス」は、「アフィニティ・パートナーズ」は総額30億ドルの資金運用を行い、うち20億ドルをサウジアラビアPIFが出資したとするが、サウジアラビアのソブリンウェルスファンドがイスラエル企業に出資するのは、今回が初めてではないという。スティーブン・ムニューシン元米財務長官が率いるファンドが、同国のソブリンファンドから出資を受け、米国で活動する「ジンパリウム」や「サイバーリーズン」など、米国防総省との契約関係にあるイスラエル企業に、各社の米国法人経由で出資した実績があるとしている。他方で、クシュナー氏のファンドは、未公開ながら既に複数のイスラエルの投資先企業を選定し、直接投資を行う見込みとされており、これまでのイスラエルとサウジアラビアの関係性からは、さらに一歩踏み込んだかたちになると予想されている。

現状、両国間に正式な国交がない中での大型投資案件に注目が集まるが、前掲の「ウォールストリート・ジャーナル」紙によれば、「アフィニティ・パートナーズ」は、サウジアラビアと同様にイスラエルとの国交がないインドネシアにも、イスラエル発の技術をもたらすことを目指しているという。

「タイムズ・オブ・イスラエル」紙によれば、当初、サウジアラビアでPIFに関わる政府高官らは今回の出資に慎重だったが、クシュナー氏と個人的に親交があるムハンマド・ビン・サルマン皇太子のイニシアチブによって、「アフィニティ・パートナーズ」への出資案件が前進したとされる。

また、前掲の「グローブス」紙は、ムハンマド皇太子は総額6,000億ドルのソブリンファンドから20億ドルの拠出を認めたものの、イスラエル企業への個別の投資判断については、全て同皇太子の承認を条件としていると報じており、イスラエル企業への投資案件についても同皇太子の影響力が引き続き大きいことを示唆している。

(吉田暢)

(イスラエル、サウジアラビア、米国、インドネシア)

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