マクロン大統領、プーチン大統領と対話を再開

(フランス、ロシア、ウクライナ)

パリ発

2022年05月09日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5月3日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談を行い、ロシア軍によるウクライナ・ブチャでの住民虐殺が報道されてから中断していたプーチン大統領との対話を再開した。

大統領府の5月3日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、マクロン大統領はプーチン大統領に対し、ロシアによるウクライナ侵略戦争がもたらす極めて深刻な影響をあらためて強調した。ウクライナ東部マリウポリとドンバス地方の状況について深い懸念を表明し、人道支援組織と連携しつつ、国際人道法に沿って避難者に目的地の選択権を与えながら、数日前に始まったアゾフスタリ製鉄所からの避難継続を可能にするよう求めた。

マクロン大統領はまた、ウクライナ戦争が世界の食料安全保障に与える影響に考慮し、ウクライナからの黒海経由での食料輸出について、ロシアによる封鎖解除に貢献するため国際機関とともに努力する用意があることを伝えた。

さらに、プーチン大統領に対し破滅をもたらす侵略を止めてロシアが国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たすことを求めた。そして、平和とウクライナの主権・領土保全の完全な尊重を可能にするため、交渉による解決に必要な条件を整えることに尽力する意思を表明した。

これに先立ち、マクロン大統領は4月30日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、同国の主権と領土回復に向け引き続き努力することをあらためて表明していた。マクロン大統領は5月5日、ポーランドで開催されたウクライナに対する人道支援に向けた国際会議に際し、ウクライナ支援予算を3億ドル上乗せすると発表した。フランスは既に物資や財政支援など合わせて17億ドルの予算を確保していたが、ウクライナの経済復興のためにさらなる支援が必要だとして、支援予算総額を20億ドルに引き上げる意向を明らかにした(大統領府の5月5日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同発表によれば、フランスは戦争勃発からこれまでに人道支援に1億ユーロを拠出し、800トンの人道支援・医療物資をウクライナおよび周辺国に届けた。一方、フランス国内には4月28日までにウクライナから5万1,000人を超える避難民が入国し、このうち2万9,000人が宿泊施設に受け入れられた(大統領府の5月2日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(山崎あき)

(フランス、ロシア、ウクライナ)

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