欧州自動車市場、EVとHEVの好調続く、北欧では中国メーカーも存在感

(EU、ノルウェー、アイスランド)

ブリュッセル発

2022年05月09日

欧州自動車工業会(ACEA)は5月5日、2022年第1四半期(1~3月)のEU26カ国(マルタを除く、注1)における燃料タイプ別の新規乗用車登録台数PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)について発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ガソリン車が全体の36.0%と引き続き最もシェアが大きいものの、ディーゼル車(16.8%)と共に、前年同期と比較すると大きく後退した(それぞれ4.8ポイント、5.3ポイント減)(添付資料図参照)。特にディーゼル車は、登録台数の増減でみると前年同期比33.2%減と、急激に落ち込んだ(添付資料表参照)。

一方、ハイブリッド式電気自動車(HEV)はシェア25.1%、バッテリー式電気自動車(BEV)は10.0%、プラグインハイブリッド車(PHEV)は8.9%だった。乗用車全体の新規登録台数は前年同期比12.3%減と、2022年に入ってからも新車販売は低調だが、ガソリン車、ディーゼル車とは対照的に、HEV(5.3%増)、BEV(53.4%増)の登録台数は引き続き好調を維持している。特に、BEVのシェアは前年同期(5.7%)のほぼ2倍となり、登録台数もルーマニア(約5.1倍)を筆頭に多くの国で大幅に増加した。

北欧市場は内燃機関搭載車との「決別」が進む

自動車業界を専門とするドイツのシュミット自動車リサーチも同日、2022年第1四半期の西欧18カ国(注2)におけるEVの販売状況について発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。新規登録台数におけるBEVとPHEVが占めるシェアの合計をみると、2025年に内燃機関搭載車の新車販売を禁止するとしているノルウェーでは89.8%と、18カ国の平均(22.0%)を大きく上回り、他国を圧倒した。これにアイスランド(62.7%)、スウェーデン(53.5%)、フィンランド(34.4%)、デンマーク(33.6%)が続き、北欧5カ国が上位を独占した。

シュミット自動車リサーチは、BEVが急速に市場を席巻している北欧5カ国の総人口は合計してもドイツの約3分の1で、欧州市場全体でみると非常に小規模な市場といえるが、それが逆に中国メーカーなど新規参入企業を引き付けている、と分析する。例えば、中国第一汽車集団(FAW)、上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)や比亜迪汽車(BYD)は欧州市場への参入の足掛かりとして北欧市場を選び、存在感を示している。ノルウェーでは2022年第1四半期に新たに登録されたBEVの約11%が中国メーカー車だった。

さらに同社は、北欧5カ国でBEVの導入が進む要因として、再生可能エネルギーの普及が進んでいることや高い経済水準のほかに、政府によるBEV購入支援策や税優遇が手厚いことを挙げている。また、北欧諸国の都市部だけでなく、地方でもBEVの普及が進みつつあるとして、小国であることや、現在起きている完成車の供給不足が不利に働く面もあるとはいえ、北欧諸国でBEVは当面、さらに普及する、と予測した。

(注1)ACEAは、マルタはデータ入手不可能として、統計に含めていない。

(注2)EU14カ国(ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、デンマーク、アイルランド、ギリシア、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、スウェーデン)と、ノルウェー、アイスランド、スイス、英国の計18カ国。

(滝澤祥子)

(EU、ノルウェー、アイスランド)

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