パンデミック後のグリーンカード発行数は回復、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年04月05日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは4月4日、新型コロナウイルスのパンデミックが移民など人の移動に与えた影響に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

それによると、永住者を対象とするグリーンカードの発行数は、新型コロナ感染拡大直後の2020年第3四半期(7~9月)に7万9,000件まで落ち込んだが、2021年第2四半期(4~6月)、第3四半期にわたって急速に回復し、第4四半期(10~12月)には28万2,000件と、2017年第3四半期(28万6,000件)のレベルに並んだ。新規発行数も2020年第3四半期には1万9,000件に落ち込んだが、2021年第4四半期には10万5,000件に達した(2017年第3四半期は14万2,000件)。

移民のステータス調整のために発行されるグリーンカードも、2020年第3四半期に6万件まで落ち込んだが、2021年第4四半期には17万7,000件と、2016年以降に記録されたどの四半期よりも多数発行された。

2020年初めから、新型コロナ感染拡大が世界中の人の移動に影響を与え、米国はカナダとメキシコとの国境を閉鎖し、2021年後半まで不必要な旅行を禁止し、空路の旅行も厳しく制限した。ビザを発行する世界の米国領事館の4分の3は、2021年6月まで閉鎖された。既に米国にいる移民の申請を処理する米国市民権および移民サービス局は、パンデミックの最中に直接面接やその他のサービスを停止した。

非移民者数は回復せず

観光客を含む非移民者数は、2016~2020年の各四半期の平均は1,960万人だったが、2020年第3四半期には60万人に落ち込んだ。2021年第4四半期に510万人に増加したが、通常の4分の1程度のレベルだった。このうち約8割が観光客で、残りは出張のビジネスマン、一時的労働者およびその家族、学生だった。

出張のビジネスマンなどの人数は次のとおり。

○2017年第3四半期

  • 出張のビジネスマン(223万9,000人)、一時的労働者(92万5,000人)、学生(76万8,000人)

○2020年第3四半期

  • 出張のビジネスマン(12万3,000人)、一時的労働者(22万6,000人)、学生(1万1,000人)

○2021年第4四半期

  • 出張のビジネスマン(46万1,000人)、一時的労働者(54万2,000人)、学生(50万1,000人)

(注)国土安全保障省の連邦移民統計局(OIS)のデータを基に分析。

(松岡智恵子)

(米国)

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