米国での鳥インフルエンザ発生件数、2015年以来で最悪の状況

(米国)

シカゴ発

2022年04月07日

米国で高病原性鳥インフルエンザH5N1亜型(以下、鳥インフルエンザ)の感染が急速に拡大している。米国農務省(USDA)の4月4日のデータによると、2月9日にインディアナ州での感染が確認されて以来、商業用家禽(かきん)類への感染は24州に広がっている。現在、鳥インフルエンザの発生件数は、5,000万羽が殺処分された2015年以来で最悪の状況となっており、商業用家禽類の殺処分数は2,200万羽を超えている(ロイター4月4日)。

また、USDAの4月2日の発表によると、鶏卵の生産量で全米最大のシェア15%を誇る中西部アイオワ州では、鶏肉、鶏卵用などを合わせて1,300万羽以上が殺処分の対象となっている。2015年の流行時には、商業用家禽を多く生産している中西部のアイオワ州やミネソタ州、ネブラスカ州などで大きな被害が出ており、特にアイオワ州では3,200万羽が処分されるなど大打撃を受けた。

また、全米の七面鳥の生産量のシェア15%(2019年)を誇る中西部ミネソタ州では、USDAが2022年3月28日に緊急対応チームを発足させ、同州での鳥インフルエンザの封じ込め活動を支援することが発表された。同州では、4月2日の時点で40万羽以上の七面鳥が処分の対象となっている。

市場価格への影響には複数の見方

鶏肉や卵など食料品の価格は、新型コロナウイルスのパンデミック以降、労働力の不足やサプライチェーンの混乱の影響などで、現在も上昇傾向にある。2022年2月の鶏肉と卵の価格は前年同月比でそれぞれ12.5%、11.4%上昇している。USDAは、市場価格について、今回の鳥インフルエンザの感染拡大によって、鶏肉と卵の供給不足が起こり価格の上昇を押し上げる可能性があるとする一方で、米国の鶏肉製品や卵に対する外国のニーズが減ることで(輸出が減り、国内市場が供給過多となり)、価格が下落する可能性もあるとの見解を示している。

(星野香織)

(米国)

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