三菱商事、脱炭素化に向け米ブレイクスルー・エナジー・カタリストに出資、アジア企業で初

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年04月26日

三菱商事は4月25日、脱炭素技術の社会実装プロジェクトを推進する「ブレイクスルー・エナジー・カタリスト」(以下、BEC)への出資参画を決定したと発表した。これは、米国・マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立した脱炭素技術に関する投資ファンドの米国ブレイクスルー・エナジー(本社:ワシントン州シアトル)が実施するもので、アジア企業として初めての参画となる。

BECは、民間企業・慈善団体からの資金供給に加え、グリーン製品需要家による製品引取支援、さらには政府機関からの支援を有機的に結びつける「カタリスト(触媒)」となり、カーボンニュートラル社会を実現するために必要な、商業化直前の革新的な脱炭素技術を用いたスケールアップ・プロジェクトを支援する枠組みを構築している。注力分野は、(1)クリーン水素製造、(2)長期エネルギー貯蔵、(3)持続可能航空燃料、および(4)直接空気回収の4分野で、将来的には脱炭素化に重要なその他の技術にも対象領域を拡張していくことを想定しているという。

三菱商事は、2021年10月に「カーボンニュートラル社会に向けたロードマップ」を策定し、温室効果ガス排出量の削減目標やエネルギー・トランスフォーメーション(EX)関連投資に関する方針を公表している。また、同社は、再生エネルギー事業や水素・アンモニア・メタネーションなどを活用した次世代エネルギーの導入検討などに着手しており、全世界的な課題であるカーボンニュートラル社会への移行・実現には、新技術とイノベーションの活用が必要不可欠との考えだ。

三菱商事は脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2021年9月21日に二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)やEOR(注)事業を担う米国デンバリー(本社:テキサス州プレイノ)と、同社の子会社デンバリー・カーボン・ソリューションズを通じて、メキシコ湾岸でのCO2輸送および貯留のプロジェクトに関し、主要条件で合意したことを発表している(2021年9月28日記事参照)。

(注)Enhanced Oil Recovery (二酸化炭素などを利用した石油増進回収)のこと。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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