カシス大統領が訪日、科学と研究での関係強化に期待

(スイス、日本)

ジュネーブ発

2022年04月28日

スイスのイグナツィオ・カシス大統領は4月18日から21日に日本を訪問し、岸田文雄首相や林芳正外相、小林鷹之経済安全保障担当相、牧島かれんデジタル相と会談した。その後、大阪のスイスネックス、京都大学を訪問、スーパーコンピュータ「富岳」を視察し〔スイス連邦参事会(内閣)の4月21日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕、科学と研究分野での両国のさらなる連携への期待を示した。

カシス大統領は20日には、在大阪スイス領事館内で開催された「スイスネックス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のオープニングセレモニーに出席した。スイスネックスはスイス連邦外務省と連邦教育研究イノベーション庁を母体とする公的機関で、イノベーション、教育、研究の分野でスイスと各国を結ぶネットワークとして機能している。これまでサンフランシスコ、ボストン、上海、バンガロール、リオデジャネイロに拠点があり、各国への進出を目指すスイスのスタートアップを支援してきた。今回、日本初の拠点が在大阪スイス領事館内に設立された。これにより、スタートアップの日本進出支援体制が強化されることとなる。

カシス大統領は2025年に開催予定の大阪・関西万博主催者とも面会した。スイスは同万博にライフサイエンス、環境保護、人工知能をテーマとしたパビリオンを出展する予定だ。また、2月に大阪で開催された国際スタートアップアワード「Hack Osaka外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、ゼロエミッションの水中翼船を開発するスイスのモビリティースタートアップ「Mobyfly外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」社が大阪・関西万博/ジェトロ大阪本部賞を受賞しており、同オープニングセレモニーでも紹介された。

写真 スイスネックス大阪オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)

スイスネックス大阪オープニングセレモニーの様子(ジェトロ撮影)

カシス大統領は21日には京都大学で講演し、科学技術外交の重要性を訴え、日スイス両国がイノベーションの分野で果たせる役割の大きさを示唆した(スイス連邦参事会ウェブページに掲載された講演内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、スイスの科学技術外交に関連するシンクタンクとして重要な役割を果たしている「ジュネーブ・サイエンスディプロマシー財団(GESDA)」にも言及した。GESDAは2019年に連邦政府、ジュネーブ州政府、ジュネーブ市によって設立され、向こう5年、10年、25年の将来的な科学技術の進歩を予測し、それらの科学的予測と外交を結び付け、人類の課題解決に貢献することを目指している。カシス大統領は、日本を含む543人の科学者によって2021年に設立後初の報告書が発表されたことを紹介し、より多くの日本の研究者の参画を期待すると述べた。

また、訪日中の成果として、スイス国立科学財団と日本学術振興会との間で協力覚書に署名したことや、スーパーコンピュータ「富岳」プロジェクトにチューリッヒとルガーノの研究チームが新たに協力することが発表されたと紹介した。

(城倉ふみ)

(スイス、日本)

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