ローレンス・ウォン財務相、次期首相の見通し

(シンガポール)

シンガポール発

2022年04月18日

シンガポールのリー・シェンロン首相は4月14日、ローレンス・ウォン財務相が与党・人民行動党(PAP)の第4世代のリーダーとして、閣僚と議員全員の支持を獲得したと発表した。2025年11月までに実施予定の次期総選挙の前後に、ウォン財務相が次期首相に就任する見通しとなった。今回の決定を受けて、リー首相は後日に内閣改造を行う予定だ。

リー首相は当初、2022年2月に70歳となるまでに首相交代の意向を示していた。次期首相の最有力候補として2018年11月、ヘン・スイキャット副首相が決まっていたが、ヘン副首相は2021年4月に年齢を理由に次期首相候補の辞退を表明(2021年4月26日記事参照)。これを受けて、リー首相は、新型コロナウイルス感染状況が落ち着くまで首相の地位にとどまると述べていた。

リー首相はこのほど、PAP会長のコー・ブンワン元国家開発相に対し、第4世代のリーダー候補について各閣僚の意見を聞くよう要請。コー元国家開発相が4月16日の会見で明らかにしたところによると、リー首相と2人の上級相を除く閣僚17人と国会議長、全国労働組合会議(NTUC)の19人のうち15人がウォン財務相を支持した。リー首相は同会見で「私は既に70歳であり、ウォン財務相の準備が整い次第、(首相の地位)を譲りたい」と語った。同首相は首相交代が次期総選挙の前後になるかどうかは、後日、同財務相と話し合いの上で決める考えを示した。その上で、首相交代の時期が選挙の前後いずれかだとしても、「PAPが次期総選挙で勝利すれば、次期首相がウォン財務相となるのは決定済みだ」と述べた。

ローレンス・ウォン氏は、第4世代指導層の首相候補の中でも49歳で一番の若手。同氏は官僚出身で、リー首相の秘書官(2005~2008年)やエネルギー市場監督庁(EMA)長官(2008~2011年)を務めた後、2011年5月の総選挙で政界入りした。2014年5月に閣僚に昇格。文化・コミュニティー・青年相(2014~2015年)、国家開発相(2015~2020年)、教育相(2020~2021年)を経て、2021年5月に財務相に就任した。ウォン氏は2020年1月に新型コロナウイルスの政府タスクフォースの共同委員長に就任し、定期的な会見で感染防止対策を国民に説明し、注目を集めていた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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