北京市最大の区で住民・通勤者全員をPCR検査、封鎖管理も強化

(中国)

北京発

2022年04月26日

中国・北京市では、市内最大の人口を有する朝陽区で4月25、27、29日の3日間、全住民および区内への通勤者全員に対してPCR検査を実施することとなった。

4月22日夕刻から4月24日夕刻にかけて北京市内の感染者が拡大し始め、同時期の感染者数35人のうち25人が朝陽区の住民だったため、対策強化に踏み込んだとみられる。北京市内の16の区のうち、朝陽区は常住人口が約345万人で1位、人口密度では3位となっている(注1)。

4月24日の北京市政府の記者会見で、朝陽区の楊蓓蓓副区長は、特に今回の感染が団体旅行参加者や内装業者の中で拡大したことを踏まえ、それら関係者に対する検査をさらに進めるとともに、4月25日からは区内でPCR検査を「常態化」するとしている。

同時に、規制強化による影響を軽減するため、中国人民保険集団と連携し、朝陽区内のサービス業企業が営業停止となった場合、同集団から従業員に対して、最長21日間にわたり1日100元(約2,000円、1元=約20円)を補償するとしている。企業が営業停止となった場合は、毎回の営業停止ごとに補償が受けることが可能。ただし、累計の補償額は10万元が限度となる。

生活必需品不足への懸念に対しては、重点対象となっている大手スーパーマーケットは、1日の販売量の1.5倍の在庫を有しているほか、政府備蓄も併せて準備するとし「物資の供給と備蓄は十分だ」と強調した。

朝陽区では、4月24日時点では区内で封控区、管控区(注2)がそれぞれ14カ所指定されていたが、4月25日にはさらに一部の地域の管理が臨時に強化された。該当エリアでは、必要時を除いて小区(住宅エリア)からの外出が制限されるほか、飲食店や映画館などの娯楽関連施設は営業停止となる。一方で、スーパーや病院など生活に不可欠な施設は通常どおり営業・運営されるとしている。

感染拡大を受けて、北京市内では一部スーパーの商品が品薄となったり、ネットを通じた食品の宅配が難しくなったりしているものの、4月25日時点では生活必需品の入手に大きな混乱は生じていない。現地報道では、買い物客の増加に対応して、スーパーが営業時間を延長して対応している様子などが報じられている(「北京日報」4月25日)

(注1)2020年11月1日時点。

(注2)「封控区」「管控区」の規制内容は次のとおり。

  • 「封控区」:マンションなどの自宅から出ることができない。
  • 「管控区」:自宅から出ることはできるが、外出範囲は小区(住宅エリア)内のみに限られる。人が集まることは禁止される。

(河野円洋)

(中国)

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