日・モロッコの投資協定と租税条約が4月23日に発効

(日本、モロッコ)

ラバト発

2022年04月07日

日本とモロッコの投資協定と租税条約が4月23日に発効する。

両国は2020年1月に、当該協定と条約に署名した(2020年1月21日記事参照)。発効に当たっては、各国内での承認を経て、相手国側に通告する必要があり、日本は2020年5月に国会で承認され、その翌月にモロッコ側に通告していた。2022年3月24日に、モロッコ政府から国内手続き完了についての通告を受け、発効に必要な相互の通知が交わされた。日本との投資協定は、アフリカで5カ国目、租税条約は4カ国目となる。

現在、モロッコ進出日系企業は自動車部品製造や貿易、販売など約70社。今回の発効により、日本企業の事業拡大が進む自動車製造分野をはじめ、幅広い分野で日系企業のビジネス環境整備が一層進展し、新規投資の拡大が期待される。

日・モロッコ投資協定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の主な内容は以下のとおり。

  • 第2条:投資の許可及び促進(投資条件の整備や投資財産の保護)
  • 第3条:内国民待遇及び最恵国待遇(自国や第三国の企業に与えている待遇より不利でない待遇を与えること)
  • 第4条:一般的待遇(投資財産に対し、国際慣習法に基づく待遇を与えることや司法上の公平な待遇、不合理、恣意的又は差別的な措置による投資活動の阻害禁止)
  • 第5条:特定措置の履行要求の禁止〔ローカルコンテント要求(国産品の購入または使用の要求)、輸出入均衡要求、為替規制など〕
  • 第6条:他の協定との関係(知的財産保護)
  • 第8条:投資家の入国、滞在及び住居(投資家の入国、滞在の許可)
  • 第9条:収用及び補償(補償を伴わない収用の禁止)
  • 第11条:資金の移転(利益や利子、使用料等を含む資金の移転が自由かつ遅滞なく行われることの確保)

日・モロッコ租税条約PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の主な内容は以下のとおり。

【日本で適用されるもの(所得税、法人税、復興特別所得税、地方法人税、住民税)】

  1. 課税年度に基づいて課される租税に関しては、令和5年(2023年)1月1日以降に開始する各課税年度の租税
  2. 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、令和5年1月1日以降に課される租税

【モロッコで適用されるもの(所得税、法人税)】

  1. 源泉徴収される租税に関しては、令和5年1月1日以後に支払われ、又は貸記される額
  2. その他租税に関しては、令和5年1月1日以降に開始する各課税年度又は課税期間

(本田雅英)

(日本、モロッコ)

ビジネス短信 dd890cefd1d151c4