英国、新たな対ロ制裁発表、G7各国にも追加制裁を呼び掛けへ

(英国、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年04月07日

英国政府は4月6日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う新たな対ロシア制裁を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ロシアによるウクライナの民間人への攻撃に関する報告を踏まえたもの、としている。主な制裁の概要は以下のとおり。

  • ズベルバンク、モスクワ信用銀行の英国内の保有資産凍結。
  • 新たな対ロ投資の禁止。
  • 重要な石油精製部品や触媒の対ロシア輸出を禁止。
  • 鉄鋼製品の輸入を禁止。ロシアによる英国の量子・先端素材技術の取得を制限。
  • 8人の新興財閥(オリガルヒ)の英国内の保有資産凍結と渡航禁止。

エリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は、4月7日に行われるG7外相会合でも各国に対し、ロシアへのエネルギー依存の終了に向けた期限を早めるよう呼び掛けるとしている。また、ロシア兵がウクライナから撤退し残忍な侵攻を永久に(once and for all)終了するまで、G7で協調してさらなる制裁を導入するよう求めるとしている。

なお、英国の2021年の対ロシアの鉄鋼輸入額(注)は、前年比倍増の9,371万ポンド(約151億8,100万円、1ポンド=約162円)で、対ロシア輸入額全体の0.5%を占める。また、ロシアへの対外投資額(ネット、フロー、2020年)は、2019年の1億300万ポンドから約13億ポンドの引き揚げ超過に転じている。業種別でみると、その他のサービスが最大で4,600万ポンド(前年比200万ポンド減)、専門・科学および技術サービスが3,200万ポンド(1,200万ポンド減)、金属、機械製品が600万ポンド(1,100万ポンド減)と続く。

サイバーセキュリティへの対応を呼び掛け

サイバーセキュリティを担当するスティーブ・バークレイ・ランカスター公領相と、英国産業連盟(CBI)のトニー・ダンカー事務局長は同6日、「タイムズ」紙に合同で寄稿し、サイバー攻撃を防ぐため、企業に対し団結して取り組む必要があるとした。国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、現時点で英国機関に対する脅威は確認していないとした一方、敵対的なサイバー活動のリスクが高まっているとし、企業に対してサイバーセキュリティを金融リスクなどと同様に、重要議題として取り扱うよう求めた。さらに、小規模サプライヤーも含めた、サプライチェーン全体のストレステストを行うべきとした。

(注)歳入関税庁のデータに基づき、HSコード72類の輸入額を算出。

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ)

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