カナダ、ロシアによるウクライナ・ドンバス地域併合の企てに加担の203人へ制裁発動

(カナダ、ウクライナ、ロシア)

トロント発

2022年04月28日

カナダのメラニー・ジョリー外相は4月27日、ロシアによるウクライナ侵攻に関連する追加制裁を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ウクライナのドンバス地域の一部(いわゆる「ルハンスク人民共和国」「ドネツク人民共和国」)のロシアへの併合の企てに加担した2「共和国」の人民評議会の高官11人とその他のメンバー192人を対象として、資産凍結や個人取引禁止などの制裁を発動する。

2014年にロシアがクリミアの不法占拠と併合を試みて以来、カナダは同盟国やパートナーとの連携を取るかたちで1,400以上の個人・団体に制裁を科しているが、そのうち約1,000は、ロシアが2月24日にウクライナへの侵攻を開始して以降の発動で既に対象とされている。

ジョリー外相は「カナダは、プーチン(ロシア)大統領とその共犯者がウクライナの国境線を平然と書き換えようとすることを黙認しない。国際法は尊重されなければならない。カナダは、ルールに基づく国際秩序の維持や、国際法違反の加担者が罪を償うことを確実にするために、あらゆる手段を用いていく」とコメントした。

カナダは3月、ロシア軍によるウクライナでの戦争犯罪や人道に対する罪などの深刻な国際犯罪の申し立てについて、国際刑事裁判所(ICC)に加盟する他国と協調してICCに付託している。

ジョリー外相はさらに前日の26日、カナダ政府が制裁法を改正して、押収・制裁した外国資産を被害者に対する補償や、戦争によって損害を被った外国国家の再建のために再分配することを認める準備を始めていることを明らかにした。外相は「制裁を受けた個人や団体の資産を押収するだけでなく、没収を可能にし、その資産で被害者に補償できるようにする権限を模索している」とコメントし、実現すればG7で初となると説明した(CBCニュース4月26日)。上程されている法案によると、差し押さえた資産は「(1)国際平和と安全に対する重大な違反によって悪影響を受けた外国の復興、(2)国際的な平和と安全の回復、(3)国際平和と安全の重大な侵害、重大かつ組織的な人権侵害、または著しい腐敗行為の被害者に対する補償」に使用することができるとしている。

(飯田洋子)

(カナダ、ウクライナ、ロシア)

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