経済・気候保護省、全固体電池の実用化プロジェクトを助成

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年04月07日

ドイツの経済・気候保護省は3月29日、蓄電池メーカーのブラックストーン・テクノロジー(Blackstone Technology)が主導する蓄電池プロジェクトへの助成を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後3年間で合計2,410万ユーロを助成する。

同社は今回の助成を活用し、研究段階にあるナトリウム主体の全固体電池(注)の実用化と2025年までの商用生産を目指す。蓄電池生産では輸入原料を限りなく減らせる製法を用い、3Dプリンターを活用する。同社は合計3,200万ユーロをパイロット施設と研究開発に投資する。

今回の助成プロジェクトには、バス製造のユーラバス(Eurabus)と、光学機器のカール・ツァイスグループの2社、フラウンホーファー生産技術・応用マテリアル研究所(IFAM)、同セラミック技術・システム研究所(IKTS)、同被膜・表面技術研究所(IST)、ブラウンシュバイク工科大学粒子工学研究所(iPAT)が参画する。

経済・気候保護省の助成は2021年3月に公募した「蓄電池セル生産の重点助成研究」の枠組みで行う。同枠組みでは総額1億5,000万ユーロで、(1)蓄電池の持続可能性とリサイクル、(2)蓄電池生産のデジタル化、(3)蓄電池の試験、(4)蓄電池の認証と品質保証、(5)新たな蓄電池セル技術の適用の5分野を重点に助成する。同省によると、今後数カ月で約40の助成プロジェクトが認められる予定だ。

ブラックストーン・テクノロジーは、スイスの蓄電池原料調達・研究開発企業ブラックストーン・リソーシズ(Blackstone Resources)のドイツ100%子会社。ドイツ東部ザクセン州の州都ドレスデンから西に約50キロのドーベルンに蓄電池工場を有する。生産する蓄電池は欧州で生産される車両用で、生産能力は現時点で50メガワット時(MWh)。2022年中に500MWhまで生産能力を拡大、最大5ギガワット時(GWh)まで生産能力を拡大することを目指している。

(注)全固体電池とは、従来のリチウムイオン電池で使われる液体の電解質の代わりに固形の電解質を用いた電池。耐熱性の観点からも安全で、充電機能にも優れていることから、次世代バッテリーとして注目を集めている。

(高塚一)

(ドイツ)

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