第3次コスタ内閣が発足、復興計画の効率的執行を目指す

(ポルトガル)

マドリード発

2022年04月05日

ポルトガルの第3次アントニオ・コスタ内閣外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(社会党・単独過半数)が3月30日、マルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領の承認を受けて発足した。1月30日の総選挙(2022年2月7日記事参照)後、国外在住者の投票で身分証明方法に問題があることがわかり、2月23日に再投票が行われたため、組閣は大幅に遅れた。

経済再建に重点置いた陣容

新内閣はこれまでの19の閣僚ポストを17に削減、そのうち半数以上の9人が女性となっている(添付資料表参照)。今回の組閣では、経済復興のためのタスクフォース強化の観点から、同首相の右腕と言われているマリア・ビエイラ・ダ・シルバ閣議相がナンバー2として引き続きその役割を担う。また、デジタル化と行政の近代化、欧州問題関連の分野を統合して首相の直轄とした。

主要閣僚としては、経済・海洋相に「復興・再建計画(Plano de Recuperação e Resiliência:PRR)」(注)を基本設計した石油ビジネスの専門家アントニオ・コスタ・シルバ氏が就任した。PRR予算執行の主要部分を所掌する環境・気候対策相にはデュアルテ・コルデイロ氏が就いた。国防相はヘレナ・カレイラス氏で、同ポストを女性が務めるのはポルトガル史上初。同氏は国防研究所の所長を務めた経験がある。

また、復興プロジェクトを主に所管する大統領府、インフラ・住宅省、経済・海洋省、環境・気候対策省、領土結束省の5省を2022年後半に国営貯蓄銀行(Caixa Geral de Depósitos)の本店ビルに移転させ、省庁間の連携をより緊密にして効率化を図るという現地報道も見られる(3月26日付「プブリコ(Público)」等)。

ソウザ大統領、コスタ首相に任期全うするようくぎ刺す

閣僚認証式でソウザ大統領は「生活必需品の価格の安定」を要請し、議席の過半数保有が「絶対的権力」や「多数派の独裁」につながるべきではないと述べた。また、コスタ首相が2024年11月に任期が終了する欧州理事会のシャルル・ミシェル議長の後任への立候補に関心を示していることに対し、「選挙で圧勝したコスタ首相が任期途中で別の顔に代わるのは、政治的に容認されにくいだろう」とくぎを差した。

(注)新型コロナウイルス感染拡大後の持続可能な経済成長を目的とする2026年までの復興計画。EUの復興計画「次世代のEU」の目的に沿い、復興、気候中立への移行、デジタル化の3本柱からなる。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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