3月の消費者物価、前年同月比10.2%上昇、政府は光熱費補助金継続を決定

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年04月21日

ルーマニア国家統計局(INS)の4月12日発表によると、3月の消費者物価指数は前年同月比で10.2%の大幅な上昇となった外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2月と比べても1.9%上昇した。

品目別内訳は前年同月比で、食品が11.2%、非食品が10.9%、サービスが6.5%の上昇だった。中でも小麦粉(21.5%)、ジャガイモ(36.5%)、食用油(32.3%)、燃油(34.2%)と、必需品の値上げが突出している。光熱費では、電力が7.6%下がり、政府の光熱費補助制度(2021年11月16日記事参照)の効果が見られたが、ガスはその補助をもってしても46.5%、地域熱供給は21.0%それぞれ値上がりし、家庭や中小企業を直撃している。

政府は特に低所得世帯や中小企業を支えるため、政府緊急指令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで2022年4月1日から2023年3月末まで光熱費補助の継続を決定した(官報3月22日第274号)。これによって、家庭用電力の料金は、消費量が月間100キロワット時(kWh)以下であれば、上限は付加価値税(VAT)込みで1kWh当たり0.68レイ(約19円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約28円)、消費量が月間300kWh未満なら最大0.8レイとなる。事業用電力の料金は1.0レイが上限だ。天然ガスの料金は、一般家庭向けが1kWh当たり0.31レイ、企業向けは2021年の総消費量が5万メガワット時(MWh)以下だった場合0.37レイが上限となる。

4月13日付の「ナインオクロック」紙によると、ニコラエ・ヨネル・チウカ首相をはじめとする与党連合は4月11日、総額173億レイの支援パッケージを5月1日と6月1日に導入する案に大筋で合意した。財源の52%はEU基金から、残り48%は国庫を充てる。同紙によると、同予算の中から、エネルギー関係では3億レイを「経費の15%以上を光熱費に費やしている中小企業向けに1社あたり上限40万ユーロの補助金」として支給し、また、同額の3億レイを「輸送業向けに燃油1リットル当たり0.5レイの補助金」として支給するとしている。現在は案の段階にあるため、変更される可能性はある。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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