米NY州、州北部やカナダからNY市への再エネ送電網の敷設承認

(米国、カナダ)

ニューヨーク発

2022年04月20日

米国ニューヨーク(NY)州は4月14日、再生エネルギー発電由来電力をNY市まで運ぶ送電網敷設の承認を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NY州では2030年までに電力源の70%を再生可能エネルギー発電由来とすることを掲げているが、足元の同比率は30%程度、特にNY市では85%以上を化石燃料による発電にいまだに依存しており、今回のプロジェクトによってNY市の同依存度を2030年までに50%以上低下させることができるとしている。

今回承認されたのは、HQエナジー(本社:コネチカット州)によるシャンプレーン・ハドソン・パワーエクスプレスプロジェクト。NY州北部とカナダで生成した太陽光、風力、水力発電など再エネ発電由来の電力をNY市まで運ぶ送電網を整備する。総延長は339マイル(約546キロ)に及び、送電量は1,250メガワット(MW)で、2025年までの運用開始を目指すとしている。また、同時に承認されたクリーン・パス・NYプロジェクトでは、NY州内で生成された再エネ電力を175マイルに及ぶ地下送電網によって、750万メガワット時(MWh)の電力をNY市に供給するとしており、両プロジェクトによってNY市の年間電力消費量の3分の1以上を賄うことが期待されるとしている。また、これらのプロジェクトにより、今後15年間で温室効果ガス排出量を7,700万トン削減(同期間中の100万台分の自動車による排出量に相当)することが見込まれることに加え、期待される経済開発投資は82億ドル、州全体では約1万人の新規雇用が生み出されるとしている。

また、NY州は同日に10ギガワット(GW)以上の太陽光発電を達成するためのフレームワークを承認する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど、キャシー・ホークル知事の就任以来、積極的に再生可能エネルギー発電の開発・整備に取り組んでおり、議会で審議中の2023年度予算案でも、洋上風力発電インフラに5億ドルの投資計画の財源を盛り込んでいる(2022年1月24日記事1月17日記事参照)。全米最大のNY市を抱えるNY州の動向は他州にも影響を与える可能性があり、今後の動向がますます注目される。

(宮野慶太)

(米国、カナダ)

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